企業のデジタル化支援で、データ保護の認証など新イニシアチブ

(シンガポール)

シンガポール発

2019年01月16日

シンガポールのS・イスワラン情報通信相は1月9日、企業のデジタル化を支援する新たなイニシアチブを発表した。開始するのは、(1)中小企業向けのデジタル化補助制度「スタート・デジタル」、(2)国家共通の電子請求書(インボイス)ネットワーク、(3)個人情報の保護体制が整う企業を認証する「データ保護認証(DPTM)」の3つ。同国は2014年11月以降、デジタル技術の活用で豊かな暮らしとビジネス機会を創出する「スマート国家」の実現を目指し、さまざまなイニシアチブを打ち出している。

まず、スタート・デジタルは、2017年4月から開始した中小企業向けのデジタル技術導入支援「SMEゴー・デジタル・プログラム」に基づく、新たな支援スキームだ。同支援スキームは、情報通信省傘下の情報通信メディア開発庁(IMDA)が認定する、地場銀行最大手のDBSやマレーシアの大手銀行メイバンクなど6社の会計、人事管理、デジタルマーケティング、デジタル取引、サイバーセキュリティーの5分野におけるデジタル・パッケージのいずれかの2つを導入すると、6カ月間の導入コストを政府が負担するというもの(注1)。

また、国家共通の電子請求書(注2)の導入は、請求書の電子化で事務作業の効率化を目指すもの。電子請求書を採用したい企業は、IMDAが認定するIBMなど11社のアクセス・ポイント(AP)プロバイダーと契約する必要がある。イスワラン情報通信相は2018年5月、共通規格として欧州の「汎(はん)欧州オンライン公的調達(PEPPOL)」の導入を発表していた(2018年5月28日記事参照)。

さらに、データ保護認証(注3)は、IMDAと個人情報保護委員会(PDPC)が共同で管轄する。同認証の実証段階(2018年7月開始)で40社が申請し、日系のマモル・シンガポールを含む6社がDPTMの認定を受けている。

(注1)スタート・デジタルの支援対象は、売上高が1億シンガポール・ドル(約80億円、Sドル、1Sドル=約80円)未満か、従業員200人以下の中小企業(地元支援3割以上が条件)。また、認定デジタル・パッケージの導入を18カ月以上契約することが条件。詳細はIMDAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注2)国家共通の電子請求書ネットワーク(Nationwide E-Invoicing)の詳細は、IMDAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注3)データ保護認証(Data Protection Trustmark)の詳細はIMDAのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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