価格統制リストへの医療用品と医療サービスの追加を閣議決定

(タイ)

バンコク発

2019年01月30日

タイ政府は1月22日の閣議で、民間医療機関の医療費抑制を目的として、価格統制リスト(注)への医療用品と医療サービスの追加を決定した。本決定により、包帯、点滴用チューブ、注射針などの医療活動に必要な病院で大量に消費される医療用品が対象となったほか、病院の医療サービス、治療サービスなどの医療施設でのサービスについても価格管理リストに追加され、政府から自由診療を制限されることになる。

両品目のリストへの追加は、病院での治療費や薬代があまりにも高過ぎるという苦情が商務省に寄せられたためで、プラユット首相も現地メディアに対して、「全ての関係者に対し公平にならなければいけない」との発言をしている。一方で、民間医療機関からは「タイのメディカルハブ構想を阻害する」などと反発の声が上がっている。

今回の閣議決定を受け、政府では具体的な新制度の運用に向けた、商務省、保健省、中央会計局、私立病院協会、消費者団体、タイ健康委員会、タイ保険協会、保険保障委員会からの代表者および経済の専門家による小委員会が設置され、今後、同リストへの医療用品・医療サービスの追加や、運用に関する議論が行われる見込みだ。

ただし、同リストへの医療用品・医療サービスの追加は、現時点で閣議決定のレベルにとどまっており、施行時期などは明らかにされていない。また閣議決定の内容も、適用範囲などは明らかにされていないことから、今後は、設置予定の小委員会の議論を待つことになる。

(注)タイでは、商品・サービス価格法により、商品およびサービス価格委員会が、タイ国内で流通する商品から価格を統制する商品を指定している。

(平林拓朗、今泉美里)

(タイ)

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