ウェルネス施設のインテリアに日本の高級木材を使用
(オーストリア)
ウィーン発
2018年12月25日
オーストリアから日本への輸出において、木材・同製品は全体の13.2%を占め、特に世界最大の生産量を誇る合成板(CLT)は有望輸出品目だ。他方、オーストリアの日本からの木材・同製品の輸入はこれまでほとんどなかったが、近年、輸入額は少ないものの増加している。ジェトロは12月11日、日本から木材を輸入しているオーストリノックの創業者で最高経営責任者(CEO)のハロルド・ハインツ氏に輸入手続きやオーストリアでの需要について聞いた。その概要は以下のとおり。
同氏は、大企業の管理職を辞めた後、ニッチ市場の開拓を狙って、日本産高級木材の輸入を開始した。同氏によると、日本からの木材の輸入が少しずつ増えている要因の1つとして、オーストリアにおける近年のウェルネスブームにより、日本の温泉で見られる湯船や日本的なインテリアが増え、日本産木材への需要が増加していることを挙げた。
同社の取引相手は、日本の知人を通じて探した、「節なし」の高品質ヒノキを扱う日本の木材輸出企業だ。年間生産量が1,600立方メートルと少ないため、韓国などアジアのバイヤーとの競争は厳しいという。また、木材を確保したものの、EU側からの要求により、日本からの出荷前に取得の必要がある植物検疫証明書に関する手続きも、輸送業者にノウハウがなかったことから予定どおりに進まず、結局、日本からの出荷が3カ月以上遅れたという。さらに、EU側で輸入通関する際には検疫が必要となる。オーストリアは内陸国のため、自動車、木材やコンテナ貨物などの取扱量が最近大きく増加しているスロベニアのコペル港を利用しており、2018年11月に、ヒノキ、スギ、クスノキの丸太を積んだ日本からの初めてのコンテナがオーストリアに到着した。
ハインツ氏によると、これまでの経験を踏まえて手続きを迅速に行うと、発注から約2カ月で入荷できるという。オーストリアでは、金銭的な余裕がある人はレンガ造りの家に木製の内装をしつらえることが多く、床には固く傷がつきにくいカシを、家具には木目が美しいクルミやカエデを、壁や天井には香りたかい欧州五葉松などが用いられる。温泉やウェルネス施設では、日本産の高級木材への新たな需要がある、と同氏はみている。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア)
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