発給機関担当者が原産地規則の最新情報を解説

(ベトナム)

ホーチミン発

2018年12月27日

ジェトロは12月6日、ホーチミン市内でEPA(経済連携協定)・原産地規則に関するセミナーを開催した。同セミナーでは、講師の1人であるベトナム商工省ホーチミン市輸出入管理部長のチャン・ゴック・ビン氏から、原産地規則に関する最新情報がセミナー時および開催終了後に提供された(以下、12月12日時点の情報)。概要は次のとおり。

(問)CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定、いわゆるTPP11)において、ベトナムが採用する原産地証明書について。

(答)CPTPPで付属書3-Aを採択した国は、従来の原産地証明書を使用することができる。ベトナムは付属書3-Aを採択しており、従来の第三者証明に基づく原産地証明書を採用する予定だ。

(問)EVFTA(EUベトナム自由貿易協定)の発効見込みは。

(答)ベトナム政府は批准済みで、EU側の批准待ち。2019 年第2四半期ごろに発効の見込み。

(問)ASEAN域内のある国の発給当局が、ベトナムへの原料輸出時にフォームDの発給しか認めないとしていることが日系企業から報告されているが、ベトナムで「原産資格割合(RVC/LVC)」のASEAN域内累積証明において、フォームDを利用することが可能か。

(答)ASEAN域内で原料を調達し、ベトナムで加工して第三国(ASEAN域外でASEANとFTAを締結する国)に輸出する場合、原産資格割合のASEAN域内累積証明の根拠に原産地証明書フォームD〔ASEAN物品貿易協定(ATIGA)において、ASEAN域内の輸出入に適用〕の利用は原則として認めない。

例えば、ACFTA(ASEAN中国自由貿易協定)やAIFTA(ASEANインド自由貿易協定)では、原料についても、ASEAN域内調達国において各協定が規定するフォーム(それぞれフォームEおよびフォームAI)による原産地証明の発給が必要とされ、発給できない場合には、その原料はベトナムでフォームEおよびAIを発給申請する際に非原産材料として計算される。なお、AJCEP(日ASEAN包括的経済連携協定)やVJEPA(日ベトナム経済連携協定)における一部の繊維製品では、例外的にASEAN域内の累積証明の根拠としてフォームDの利用を認めている。

(問)On the Spot Import/Export取引(注)時の原産地証明書発給について。

(答)国内に所在する企業と、EPE(輸出加工企業)・輸出加工区内企業・保税区内企業との間での取引商品に対してのみ、原産地証明書を発給する。

(注)ベトナムから最終的に輸出される商品の製造あるいは加工を手掛けている業者が、外国の取引先からの指示に基づき、ベトナムの業者から当該商品の材料をベトナム国内で調達する制度。詳細は、調査レポート「ベトナムにおけるOn the Spot Export/Import制度」を参照。

(小林亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム)

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