2018年度日系企業調査、先行き不透明感の中にも企業の景況感は堅調

(アジア、オセアニア)

アジア大洋州課、中国北アジア課

2018年12月20日

ジェトロが10~11月に実施した「2018年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」によると、世界的に経済の先行き不透明感が漂う中、アジア・オセアニアに進出している日系企業の景況感は堅調を維持した。2019年の景況感を示すDI値(営業利益が前年比で「改善」すると回答した企業の割合から「悪化」するとした企業の割合を引いた数値)は36.7ポイントとなり、2018年見込みと比べ13.1ポイント上昇した(図参照)。

見通しの明るさは事業拡大の意欲にも表れる。今後1~2年の事業展開の方向性についてみると、全体では「拡大」とする企業の割合は55.1%となり、17年(53.7%)から1.4ポイント上昇した。中国進出企業では「拡大」が48.7%となるなど、2016年に40%を回復して以降の拡大傾向を維持している。

図 2019年の営業利益見通しからみたDI値

景況感は堅調な中、企業はさまざまな経営課題を抱えている。特に、多くの項目で経営環境の改善がみられるものの、人件費の上昇は現地日系企業を最も悩ます課題だ。「従業員の賃金上昇」を経営課題に挙げた企業は65.9%に及ぶ。国・地域別にみると、インドネシア(78.2%)、中国(75.7%)、ベトナム(73.0%)、インド(72.3%)、カンボジア(70.9%)で比率が7割を超えた。

課題への対応にはイノベーションの活用が期待される。現在、現地ビジネスで活用しているデジタル技術は、クラウド(27.4%)、電子商取引(EC)(14.3%)、ロボット(10.2%)などが目立つ。中長期的(5~10年程度)に活用を検討しているデジタル技術は、IoT(24.7%)、人工知能(AI)(20.3%)の回答率が高く、企業はより高度なデジタル技術の活用を検討している。業種別にみると、総じて製造業はIoTやロボットの活用を検討し、非製造業ではAIを活用したいとする方向にある。

調査結果の概要はジェトロの「2018年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」(2018年12月)で閲覧できる。

(アジア大洋州課、中国北アジア課)

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