カナダ政府、日本やオーストラリアなどTPP11向け輸出競争で優位に

(カナダ)

トロント発

2018年12月27日

カナダのグローバル連携省では、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)(2018年10月29日記事参照)が合意となった直後から、同省ウェブサイトで、「発効すれば、カナダはG7加盟国全てと自由貿易協定(FTA)を締結することになる。カナダはアジア太平洋における、オーストラリア、ブルネイ、日本、マレーシア、ニュージーランド、シンガポールおよびベトナムとの新しいFTAを締結することになる」と広報している。

グローバル連携省は貿易相手国の多角化に期待

これらの新FTA締結国との2016年の輸出入額は71億3,000万カナダ・ドル(約5,847億円、Cドル、1Cドル=約82円)だが、TPP11により、カナダの輸出者は年間4億2,800万Cドルの関税が削減され、特に、日本(3億3,800万Cドル)、オーストラリア(4,700万Cドル)、ベトナム(2,500万Cドル)での削減額が大きい。関税削減により、カナダの輸出者は、日本やオーストラリアなどのTPP11加盟国向けの、TPP11非加盟からの輸出との競争で、コスト優位に立つことができると解説している。

アジアなどTPP11加盟国との貿易拡大を促進

米国が保護貿易的な政策を打ち出している中、6割を超える対米貿易比率を引き下げていくことが急務なカナダは、TPP11発効の機会を最大限活用し、アジアなどのTPP11加盟国との貿易の拡大を進めようとしている。グローバル連携省は2019年から、同省のトレード・コミッショナー・サービス(国内19カ所)の職員や、各州政府の貿易振興部局職員、在カナダの外国貿易機関職員らに対し、TPP11活用のためのセミナーを開催する予定だ。また、関税削減を活用して、カナダの中小企業(製造業者、輸出業者)がTPP11加盟国への輸出を拡大できるよう、全国の主要都市においてTPP11利用促進のセミナーを開催することにしている。

(酒井拓司)

(カナダ)

ビジネス短信 be189e0380582675