インドとFTA交渉の第3ラウンド終了

(ペルー、インド)

リマ発

2018年12月17日

ペルー通商観光省のエドガー・バスケス通商担当副大臣は、インドとの自由貿易協定(FTA)の第3回交渉が12月4~7日にインドのニューデリーで行われたと発表した。

FTA交渉は2012年に両国が提起し、2015年に共同研究グループを設置した。2017年1月に同グループの研究成果を踏まえて交渉が開始され、初回は2017年8月にニューデリーで、2回目は2018年4月にリマで開催された。今回の交渉では、市場アクセスのほか、貿易促進のための通関手続き、サービス貿易、投資規制、人の移動などについてワーキンググループ会合が開かれた。次回交渉は2019年第1四半期にリマで予定されている。

ペルーの対インド輸出入額シェアは全体の3%にとどまっているが、2017年には前年比60%増の27億8,650万ドルに伸長している。ペルーからの輸出は、主に金や銅が中心(2017年はそれぞれ前年比212%増、32%増:表1参照)。輸入では主に綿糸、自動車、医薬品などが中心となっている(表2参照)。

表1 ペルーの対インド輸出
表2 ペルーの対インド輸入

ペルー政府は、2019年中の交渉合意を期待しているが、2019年4~5月にインド下院総選挙が予定されていることから、見通しは不透明だ。ペルー国内では、果物や野菜など非伝統産品の輸出の多角化による鉱業依存度の引き下げや、インドのIT産業がペルーに参入することによるIT化進展への期待がある一方、繊維産業は廉価製品の輸入増加への警戒感を表明している。既にペルーに参入しているタタのグループ企業、タタ・コンサルタンシー・サービシス・ペルーでは、ペルー国内のフリーゾーンを活用して南米のその他の国へのゲートウエーと位置付ける可能性も示唆している(「El Comercio」紙11月5日)。

インドにとって、商品以外の投資やサービスも含めた、中南米地域における初の2国間自由貿易協定(注)となるのか、2019年以降の交渉の行方が注目される。

(注)チリ(2017年拡大版発効)と南米南部共同市場(メルコスール、2009年発効)は対インド通商協定に関し、限定的な特恵関税枠組み協定(PTA:部分到達協定)を発効させている。

(設楽隆裕)

(ペルー、インド)

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