メルコスール・韓国通商協定、「自由貿易協定」としての交渉に

(ブラジル、南米南部共同市場<メルコスール>、韓国)

サンパウロ発

2018年12月19日

ブラジルの各省庁により構成され通商方針を決定する貿易審議会(CAMEX)は12月11日、2018年5月に発表した南米南部共同市場(メルコスール)・韓国の通商協定に関して、「自由貿易協定(FTA)」として交渉する方針を決定した。これまで同交渉は、単に「通商協定」と表現されていたが、同決定により実質的に全ての品目の関税撤廃を目指すものとなる。韓国との通商協定は、輸入品との競合を懸念し、国内工業団体には消極的な声が聞かれる。しかし今回、韓国との貿易自由化が生産や雇用にプラスの影響をもたらすとの評価結果が示されたことで、同審議会が判断を下した。

CAMEXによれば、影響評価は、政府系研究機関である応用経済研究所(IPEA)が、GTAP(Global Trade Analysis Project)のモデルに基づき、15年かけた関税低減を前提に試算したもの。それによれば、最も恩恵を受けるのは、小麦、食肉、油糧種子、サトウキビ、植物油脂などの農産品分野としている。そのほか、韓国側で高関税が適用されている飲料品も挙げられた。一方で、製造機械や肥料など農業資材の輸入コスト低下により、国内生産品の競争力が増すとしている。なお、次回のメルコスール・韓国交渉会合は、2019年3月に予定されている。

(二宮康史)

(ブラジル、南米南部共同市場<メルコスール>、韓国)

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