11月の失業率は3カ月連続で3.7%、雇用者数の増加幅は縮小

(米国)

ニューヨーク発

2018年12月13日

米国労働省が12月7日に発表した2018年11月の失業率は3カ月連続で3.7%となり、市場予想(3.7%)と同じ水準となった(表参照)。就業者数が前月より23万3,000人増加し、失業者数が10万人減少した結果、失業率は前月と変わらなかった。また、労働参加率(注)は62.9%で、前月と変わらなかった。

表 雇用統計(11月速報)の結果

一方で、失業期間が約半年(27週間)以上になる長期失業者が全体の失業者に占める割合は、前月より1.7ポイント低下して20.8%と、2カ月連続で減少した。また、適当な仕事が見つからずに職探しを断念した者や不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)は、前月より0.2ポイント上昇して7.6%となった。

11月の非農業部門の雇用者数の前月差は15万5,000人増となり、前月と比べて増加幅が縮小した。なお、10月の数値は25万人増から23万7,000人増へと下方修正され、9月は11万8,000人増から11万9,000人増へと上方修正された結果、9月と10月の2カ月合計の増加幅は1万2,000人の下方修正となった。

10月から11月にかけての雇用増加の内訳を主要業種別にみると、小売業が1万8,200人増と前月(7,100人減)から増加に転じたほか、運輸・倉庫業(2万5,400人増)や製造業(2万7,000人増)で前月より増加幅が拡大した(10月はそれぞれ1万5,700人増、2万6,000人増)。一方で、教育・医療サービス業(3万4,000人増)、対事業所サービス業(3万2,000人増)、娯楽・接客業(1万5,000人増)などは、引き続き増加したものの、前月より増加幅が縮小した(10月はそれぞれ3万9,000人増、5万8,000人増、5万6,000人増)。

平均時給は、前月比0.2%増(10月:0.1%増)、前年同月比3.1%増(10月:3.1%増)の27.35ドル(10月:27.29ドル)となった。

J.P.モルガン・チェースのチーフエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は、雇用の15万5,000人増という結果は「極端に悪くなかったが、人々の予想を下回った」と述べるとともに、「第4四半期(10~12月)は成長率が鈍化し、労働市場の力強さも幾分弱まることが予想」されるが、これは「景気過熱から抜け出す」ことを意味すると指摘した(ブルームバーグ12月7日)。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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