米中間選挙の結果、国境の壁実現せずとの見方も

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2018年11月15日

11月6日の米国中間選挙は、上院で共和党、下院では民主党が過半数を獲得し「ねじれ議会」となったが、これがメキシコに与える影響について、当地メディアは以下のように報じている。

民主党が下院の過半数の議席を獲得したことにより、不法移民の入国阻止のためにトランプ大統領が公約としている国境の壁の建設は、実現することはないとみられる(「レフォルマ紙」11月8日)。トランプ大統領が、壁を建設するために次年度予算として要求している50億ドルの確保が見込めないためだ(「Uno TV」ウェブサイト11月7日)。また、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の結果としてメキシコ、カナダ、米国政府が合意した新協定(USMCA)への影響については、米下院における承認が遅れることにより、現行のNAFTAが有効であり続けることから、企業が新協定で厳しくなる原産地規則などに対応するための時間が確保できるといったメリットがある一方、長期的観点からは先行きの不透明感が増すことで投資の減少を招く恐れがあると指摘している。

米国で就労するメキシコ人の環境については、大きな変化は見込めないとみられており、「エル・エコノミスタ」紙(11月8日)で、同紙コラムニストのエンリケ・カンポス氏は「反メキシコ的感情は、共和党支持者の間にしっかりと根付いているため、このまま残るだろう。しかし、次回の米国大統領選挙までの間は移民に対する攻撃は減少していくものと思われる」とコメントしている。

(松本杏奈)

(メキシコ、米国)

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