シンガポールと中国、FTAの改定協定に署名

(シンガポール、中国)

シンガポール発

2018年11月22日

シンガポール貿易産業省は11月12日、中国との自由貿易協定(FTA)の改定協定に署名したと発表した。ASEAN関連首脳会議に出席するためにシンガポールを訪問した、中国の李克強首相とシンガポールのリー・シェンロン首相による立ち会いの下、シンガポールのチャン・チュンシン貿易産業相と、中国の傅自応商務部国際貿易交渉代表兼副部長により署名された。

シンガポール・中国の2国間FTAは、中国にとってはアジア諸国との初めての協定で、2009年1月に発効した。貿易産業省の発表によれば、発効以来、両国貿易額は年平均4.6%、投資額は12.2%の水準で増加した。2017年の両国間の貿易総額は、1,371億シンガポール・ドル(約11兆2,422億円、Sドル、1Sドル=約82円)に達した。また、2016年時点でのシンガポールによる対中国直接投資額(ストック)は1,235億Sドルとなった。2013年以降、中国はシンガポールにとって最大の貿易相手国で、また中国にとりシンガポールは最大の投資国となっている。

両国政府による批准を経て発効へ

貿易産業省の発表によれば、「物品貿易」に関する章では、シンガポールから中国向けの一部の石油化学製品を対象に、原産地規則が緩和される。同対象品目は、シンガポールから中国向け輸出額の約4分の1を占める最大品目。両国で、原産地証明書の電子化が導入される。また、「サービス貿易」では、シンガポール企業による法務、海運、建設の各分野への参入要件が緩和される。シンガポールは、中国企業による空運、宅配、環境で参入要件を緩和する。

さらに、「投資」では、投資家・国家の投資紛争解決(ISDS)により、シンガポール投資家の投資が保護される。「税関手続き」では、中国政府による事前教示制度や通関時間の迅速化が盛り込まれた。それ以外にも、「貿易救済措置」「経済協力」「競争法」「電子商取引(EC)」「環境保護」「労働」に関する内容が規定された。

改定協定の交渉は、2015年の習近平国家主席によるシンガポール訪問後に開始され、8回にわたる交渉会合を経て、11月5日に妥結が公表された。チャン貿易産業相は、改定協定の署名が、両国の経済協力およびオープンなルールに則した貿易システム構築へのコミットメントの表れとし、「両国政府による迅速な批准に期待する」とした。

(藤江秀樹)

(シンガポール、中国)

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