米国とユーロ圏での投資が輸出を拡大、国立経済研が予測

(スウェーデン)

ロンドン発

2018年10月18日

国立経済研究所は10月10日、2022年までの経済予測を発表した。実質GDP成長率は2018年の2.5%をピークに、緩やかに減速するとした(表参照)。主要経済指標は以下のとおり。

表 スウェーデンの主要経済指標(予測)

2018年上半期は輸出が鈍化したものの、今後の輸出企業の見通しは楽観的で、下半期は輸出が持ち直すと予測される。また、ユーロ圏経済が欧州中央銀行(ECB)の低金利政策の継続などやや緩和的な金融政策により堅調な上、米国の経済も好調なことから、ユーロ圏と米国で投資の伸びがスウェーデンの輸出産業にとって好材料になるとした。

他方、好景気にもかかわらず労働市場では需要と供給のミスマッチが続き、失業率は6%台という高い水準で推移する見込みだ。外国出身者の失業率が高い半面、熟練労働者の獲得に悩む企業は多く、熟練労働者不足が賃金上昇を引き起こしているため、企業のコストも上昇し、消費者物価も上昇する。急激な物価上昇を抑制するため、スウェーデン国立銀行(中央銀行)は金融引き締め路線に移行し、2019年2月から段階的に利上げを行うと予測している。

経済予測では、世界貿易における保護主義や貿易戦争の悪循環がスウェーデン経済に負の影響を与えるリスクがあるとした。また、欧州内のリスクとしては、イタリアの財政政策の不透明性や英国のEU離脱などを指摘。同研究所のイルバ・ヘデーン=ウェステルダール分析部長は、「英国はスウェーデンとEUの双方にとって重要な貿易相手国であり、英国が景気後退に陥った場合、欧州も景気後退に陥り、悪影響を受ける可能性がある」とし、英国の合意なきEU離脱がスウェーデン経済にとって最大の脅威になると懸念を示した。

(三瓶恵子)

(スウェーデン)

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