メルコスールとEUのFTA交渉、年内合意は困難か

(南米南部共同市場<メルコスール>、EU、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、パラグアイ)

ブエノスアイレス発

2018年10月03日

南米南部共同市場(メルコスール)加盟国(アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジル)の首脳は9月25日、米ニューヨークで会談し、EUとの自由貿易協定(FTA)締結の早期実現を目指すことを確認した。年末にかけて閣僚級および専門家会合がメルコスール議長国のウルグアイで開催される予定で、アルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領は「域内の相違点を解決させ、メルコスールとしての結束を強めた上でEUとの交渉に挑むべき」と述べた。

約20年間にわたるメルコスールとEUとのFTA交渉は、9月に合意されるとの強い期待もあった。しかし、9月10日から14日にかけてウルグアイの首都モンテビデオでの交渉は難航し、ウルグアイのロドルフォ・ニン・ノボア外相は「相違点が多く、2019年まで進展は見込めない」との見解を示していた。

合意に至っていない分野には、牛肉、砂糖、自動車・同部品が含まれる。EU側は1月に、牛肉輸入枠を7万トンから9万9,000トンに引き上げることを提案したものの、メルコスール側は13万トンの枠を求めている。砂糖は年間15万トンの対EU輸出枠が認められるものの、1トン当たり98ユーロの関税が課せられることにメルコスールでは不満が出ている。

EUからのメルコスールの自動車・同部品の輸入自由化のための猶予期間に関しては、10年から15年に引き延ばす要望がメルコスール側にあるとされる。双方が譲らない状況に加えて、アルゼンチンの経済状況や10月に行われるブラジル大統領選挙の行方もFTA交渉の懸念事項となっている。

(山木シルビア)

(南米南部共同市場<メルコスール>、EU、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、パラグアイ)

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