与党のラゴス州知事予備選、現職のアンボデ知事が落選

(ナイジェリア)

ラゴス発

2018年10月09日

2019年2~3月のナイジェリア各種選挙を控え、政党の予備選挙が各州で繰り広げられている。2018年10月2日に行われた与党「全進歩会議(APC)」のラゴス州知事予備選で、現職のアキンウミ・アンボデ知事が敗北する波乱が生じた。

波乱の発端は、アーメド・ボラ・ティヌブ元ラゴス州知事が現職のアンボデ知事を支持しない意向というニュースだった。ティヌブ氏は、アンボデ氏不支持の理由を「民主主義によるもの」と明確にしておらず、さまざまな憶測がなされていた。ティヌブ氏は1999年から2007年まで2期連続でラゴス州知事を務め、現在は与党APCのナショナルリーダー。特に、ナイジェリア南部を中心に強い影響力を持つ政界の要人だ。

ティヌブ氏が支持したのは、アンボデ現知事の部下であるラゴス州資産開発公社マネジメントディレクターで、元ラゴス州商工コミッショナーのババジデ・サンウォオル氏だった。

予備選は当初、9月30日に予定されていたが、10月2日に延期され、前日の10月1日にティヌブ氏が首都アブジャでブハリ大統領と非公開に面談した。予備選の結果は、サンウォオル氏が97万851票、アンボデ知事が7万2,901票という圧倒的大差でサンウォオル氏が勝利、APC党指名を勝ち取った。

ナイジェリアでは2019年2月16日に大統領選、3月2日に州知事選と国会議員選が予定されており、それまでに各州で各党の予備選が実施される。

与党APCは、現職のブハリ大統領を再選候補として擁立している。2018年前半の時点ではブハリ大統領再選が濃厚というのが大方の予想だったが、人事や政策でムスリムを優先しているという批判に加えて、ボコハラムやナイジェリア北部の牧畜民族であるフラニ族の武装グループなどのテロに対する対策の甘さが指摘されている。7月下旬から、国会上院議長や国北部の複数の州知事をはじめ50人以上の国会議員、州知事らがAPCを離党し、野党・人民民主党(PDP)に移籍した。

また、与党APCと独立国家選挙管理委員会(INEC)の癒着による不正選挙も、広く報じられている。

2018年7月14日に任期満了に伴って実施され、APC擁立候補が勝利したエキチ州知事選では、INEC職員が投票券読み取り機に細工を施したことを野党PDPが暴露し、覆面調査していた多くの人権擁護NGOが、警察官の面前でも行われていた投票所での買収や、選挙違反に対する不処罰を批判した。

ロンドンに拠点を置く調査会社EIUは9月初めに、2019年大統領選はAPCとPDPが接戦で、ナイジェリア国内経済や安全保障上の緊張が高まると予想している。ブハリ大統領は身内であるAPC党内の支持を急速に失い、APCを基盤とする州知事や議員は野党勢力との苦戦を強いられるとしている。

過去の選挙の傾向をみると、日程が延期されることも予想され、その場合、国家予算通過も遅れることになり、経済に与える影響が懸念される。

(西澤成世)

(ナイジェリア)

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