政府、新たな税制や優遇税制の見直しを検討

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年10月16日

マハティール首相は10月9日、政府債務の削減のため、新たな税制の導入や、政府が所有する土地の売却を検討していることを発表した。

マレーシア初となる政権交代を果たした新政権は、物品・サービス税(GST)の廃止、売上税・サービス税(SST)の再導入、クアラルンプール~シンガポール間高速鉄道(HSR)など大型インフラ案件の見直しなど、選挙公約をベースに着々と取り組んできた。

政府債務の削減と財政安定化が命題

他方、5月末にリム・グアン・エン財務相が、政府債務が1兆リンギ(約27兆円、1リンギ=約27円)に上ることを発表。新政権における最大の課題は政府債務の削減および財政の安定化となっている。

リム財務相は、マレーシア経済のファンダメンタルズは堅調とする一方で、「1兆リンギの政府債務の解消、350億リンギの税還付など、諸問題の解決に3年は必要」と述べ、財政安定化が容易でないことを強調した。既に9月14日に立ち上げた税制改革委員会が、税収の多角化や優遇税制の見直しに着手している(「ザ・スター」紙10月10日)。

財務省によると、2017年時点のマレーシアの税収には、直接税として法人税、個人所得税、石油所得税があり、間接税としてGST、物品税、輸入関税、輸出関税があった。財政面では、GSTからSSTに移行したことにより約240億リンギの税収減が懸念されている。

マハティール首相は、地場・外資を問わず民間企業の投資を歓迎し、より良い投資環境を提供することを強調している。ダレル・レイキン国際貿易産業相は「投資の承認やインセンティブの付与などを1つの投資促進機関が行うことを内閣に提案する」と発言した。11月2日に発表予定の2019年予算案には、優遇税制を含めた税制改革や政府の組織改編など、日系企業にも影響する大幅な変更が含まれる見通しだ。

(田中麻理)

(マレーシア)

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