上半期の外国からの観光客は28.9%増と回復

(トルコ)

イスタンブール発

2018年10月04日

2018年上半期にトルコを訪問した外国からの観光客数は前年同期比28.9%増の1,891万7,033人と大幅に回復した。トルコの観光収入はGDPの3.1%(2017年)を占めており、観光産業の回復はトルコ経済にとっては極めて重要といえる。

トルコの観光産業は、2015年11月のロシア軍爆撃機撃墜事件、2016年6月のアタチュルク国際空港襲撃事件をはじめとしたテロ事件および7月のクーデター未遂事件などによる治安への懸念により不振に陥った。2016年の外国人観光客数は前年比で約25%減となり、2008年のレベルまで落ち込んだ。特にロシアとドイツからの観光客数はそれぞれ約280万人減、約170万人減と落ち込みが激しかった。しかし、2017年後半以降、ロシアとの関係正常化や国内の治安改善が進んだことで、観光客数は順調に回復している。

2018年上半期の外国人観光客数を地域別にみると、EU諸国からが全体の40.4%を占め、2016年の51.3%の水準には届かないものの、2017年の39.2%から回復している。国別ではドイツが25.1%増、英国が41.3%増、オランダが40.8%増、フランスが35.0%増と、主要国からはいずれも増えている(表1参照)。

ロシアからの観光客数は前年同期比で40.6%増と大きく伸びた。イランは13.5%増、ブルガリアは23.6%増、ウクライナは17.3%増と過去最高を記録した。また、近年はイラン、イラク、サウジアラビアなど中東からの観光客が急増している。日本からの観光客数も前年同期の1万9,431人から3万5,767人へ84.1%増加した。

表1 国別観光客数の推移

他方、ドル建てでみた観光収支は、観光客数に比べ回復が遅れている。2014年の観光客1人当たりの支出額(収入)は828ドルだったが、その後は減少し続け、2018年上半期では667ドルだった(表2参照)。2016年から続くトルコ・リラの減価に加え、治安の悪化などで高所得層の観光客が敬遠したことが背景にあるものと思われる。

表2  観光収入の推移

こうした中、日本からはホテルオークラが2019年にカッパドキアで開業を予定しているほか、H.I.S.ホールディングスが2020年を目標にパムッカレにホテル建設に取り組むなどの動きがある。

(エライ・バシュ)

(トルコ)

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