貿易で存在感、メルコスールでの通商スタンスを聞く

(パラグアイ)

サンパウロ発

2018年10月01日

パラグアイは南米南部共同市場(メルコスール)のGDPの1.1%を占めるにすぎないが、財の輸出額では3.0%、輸入額では5.0%を占める(表参照)。ジェトロは、経済規模に比べて貿易額のプレゼンスが大きい同国の通商政策に関して、パラグアイ外務省のフアン・アンヘル・デルガジージョ経済関係・統合担当副大臣にインタビューした(9月19日)。その概要を報告する。

表 メルコスール4カ国のGDP規模、貿易額(2017年)

パラグアイ政府はメルコスール4カ国の対外通商交渉スタンスを尊重する立場で、域外との積極的な通商交渉を支持している。メルコスールはEUとの自由貿易協定(FTA)交渉が大詰めを迎え、欧州自由貿易連合(EFTA)とも交渉中、さらに2018年に入りカナダ、韓国、シンガポールとの通商交渉を開始した。同副大臣によれば、加盟各国の事情はメルコスール内で調整され、その結果がメルコスールの対外通商交渉に反映されているという。実際に、EUとの交渉ではEU側の農業分野の市場開放、メルコスール側は自動車分野の市場開放が問題となる中、いずれもパラグアイの関心事だという。特に農業分野ではパラグアイは食肉をはじめ食料生産国で輸出に関心が高い。自動車分野に関しては、今のところ完成車メーカーは立地していないが、域内の完成車メーカー向けに輸出する自動車部品メーカーは立地する。その観点では、メルコスールの通商スタンスにパラグアイの事情も反映されている。

また、メルコスールは中国との通商協定にも関心を表明しているが、パラグアイは台湾と国交を有している。その点に関して同副大臣は、通商交渉はメルコスールとして行うもので、パラグアイ一国家の取り組みではなく、また外交と通商は別物であり、将来的にメルコスールが中国とFTA交渉をしても、台湾との関係は損なわれないとの認識を示した。

なお、民間セクターを中心に、日本とメルコスール経済連携協定(EPA)の交渉開始を求める声が出ている点に関して、同副大臣はメルコスールとして交渉開始を望んでいるとし、G20といった国際会議の機会もあるが、まずは双方対話のテーブルに着くことが重要とした。

(二宮康史)

(パラグアイ)

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