アリババがロシアで合弁会社、EC市場進出

(ロシア、中国)

欧州ロシアCIS課

2018年10月23日

中国の電子商取引(EC)大手アリババ集団がロシア企業などと合弁会社を設立し、EC事業に乗り出すことになった。

ロシアの通信大手メガフォン、インターネットサービス大手のメール・ルー(Mail.ru)グループ、政府系ファンドのロシア直接投資基金(RDIF)は9月11日、アリババと戦略的提携関係を結び、ロシアでEC事業などに携わる合弁企業を設立すると発表した。出資規模は、ロシアのインターネット市場では最大の20億ドルとされ、出資取引の調印は2019年第1四半期内を予定。

RDIFによると、出資比率はアリババが48%で筆頭株主となるが、経営支配権は52%を占めるロシア側が握る。取引の概要は、(1)アリババがロシアで展開している通信販売サイトで、中国製品の海外向け「アリエクスプレス」および一般消費者向け(BtoC)「Tモール(天猫)」ロシア版を合弁企業に編入、(2)メガフォンは保有するMail.ruの株式をアリババに譲渡、(3)Mail.ruはロシアでの中国製品通販サイト事業(2017年末に開設)を合弁企業に編入する。ロシアやCIS圏を中心に電子メールサービスやSNSなどを運用するMail.ruは1億人規模のユーザー基盤を保有しており、合弁企業にとってはこれらの利用者を囲い込むことが可能となる。またロシア直接投資基金は最大3億ドルの資金を投入する見込み(「タス通信」9月11日)。

合弁事業ではロシア中小企業の海外販促サポートも目指す。具体的にはこれら企業の製品をアリババの既存通販サイトで扱うことによって、海外への販路を開く。アリババが運用する各サイトのユーザー数は総計でロシア人口の4倍超に相当する6億人とされ、中国、東南アジア、インド、トルコ、欧州など世界の多地域にわたる。

その一環として、アリババは今後、中国国内のTモールでロシア製食品の販売を開始する計画。健康食品小売りのフクス・ビル、菓子メーカー・統一菓子製造(UC)、ビール製造大手のバルチカなどとの協議を進めている。アリエクスプレス・ロシア支社長の劉偉(Liu Wei)氏は、初期段階で30のロシアメーカーと契約し、合計約1,000種類の商品を扱う予定としている(「RBK」10月12日)。

(市谷恵子)

(ロシア、中国)

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