大統領選はボルソナーロ候補とアダジ候補の決選投票に

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年10月09日

大統領・連邦議会、州知事・州議会選挙が10月7日に実施された。その結果、大統領選挙はいずれの候補も過半数の票を集めるに至らず、10月28日に予定される決選投票に持ち越された。

得票率でみると、ジャイール・ボルソナーロ候補〔社会自由党(PSL)〕が46.0%で1位、フェルナンド・アダジ候補〔労働者党(PT)〕が29.3%で2位となり、両候補の争いとなる。以下、シーロ・ゴメス候補〔民主労働党(PDT)〕が12.5%、ジェラルド・アウキミン候補〔ブラジル社会民主党(PSDB)〕が4.8%と続いた(得票率は当地時間10月8日午後4時50分、99.9%開票時点)。上位の2人は事前の世論調査で予想されたとおりだったが、ボルソナーロ候補が半数近くの票を集め、躍進を印象付けた。なお、海外在住者投票ではボルソナーロ候補が58.8%と、アダジ候補の10.1%を大幅に上回り、過半数に達している。

ボルソナーロ候補は、過激な発言で注目を集める一方、ソーシャルメディアを駆使して汚職問題を抱えた既存の政治体制を批判し、既存体制に不満を持つ層の支持を取り込んで躍進した。経済政策は民営化の促進や市場原理の重視を掲げている。一方のアダジ候補は、ルーラ元大統領の支持基盤、特に低所得者層を中心にPTをはじめとする根強い左派支持層を取り込んだ。経済政策は、過去のPT政権でみられた政府の積極的な市場介入による開発主義を掲げている。

地域別にみると、南東部、南部、中西部ではボルソナーロ候補が優勢、北東部、北部の一部ではアダジ候補が優勢だった。決選投票に向け、10月7日の投票で敗退した候補者の支持取り付けを含め、両候補者による票の取り込みに向けた駆け引きが予想される。

同時に実施された州知事選挙をみると、サンパウロ州はジョアン・ドリア候補(元サンパウロ市長、PSDB、得票率31.8%)と、マルシオ・フランサ候補〔現サンパウロ州知事、ブラジル社会主義者党(PSB)、得票率21.5%〕による決選投票になった。

(二宮康史)

(ブラジル)

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