自動車個人輸入の優遇税率を一時停止

(スリランカ)

コロンボ発

2018年10月15日

スリランカ政府は9月30日、国会議員および上級公務員の自動車個人輸入を対象とした優遇税率輸入スキーム(パーミットスキーム)の一時停止を発表した。マンガラ・サマラウィーラ財務・マスメディア相によると、停止期間は9月29日から、国会議員が1年、上級公務員が6カ月となる。日本からスリランカへの中古車輸出への影響、ならびに11月から本格化する2019年の財政法案策定への影響が懸念される。

パーミットスキームでは、自動車の個人輸入に際し、物品税の控除額上限が360万スリランカ・ルピー(約238万円、1スリランカ・ルピー=約0.66円)となる(車種の排気量上限なし)。国会議員、および勤続年数6年以上の上級公務員に適用され、過去に同スキームを使用した者も前回使用時から5年後に再取得が可能だ。対象者は約5,000人に上り、輸入後の転売・譲渡も可能なことから、高関税が課せられる自動車輸入の抜け道とされていた。

同発表の直前まで、IMFのミッションがスリランカを訪問した。外貨準備高と税収入が当初目標を下回っている点を指摘し、財政再建計画にコメントをしていた。そのため、パーミットスキームの停止措置はIMFに応えることが背景にあるとみられる。他方、改正内国歳入法の施行など(2018年4月13日記事参照)、財政再建に向けて国民に税負担を強いている中で、2020年1月の大統領選挙に向け、政府や公務員が身を切る姿勢を示す面もある。

スリランカ政府は同スキームの再開時期について、最安値を更新中であるルピーの対ドルレートなど各種情勢を考慮し判断するとしており、予定どおり再開されるかは不透明だ。なお、同スキームは財政収支の調整弁のような位置付けとして、これまでも停止と再開を繰り返しており、その都度、細かな制度変更が重ねられている。

(井上元太)

(スリランカ)

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