日系人材紹介事業者がメキシコでサービスを開始

(メキシコ)

メキシコ発

2018年10月15日

東京・渋谷に本社を置く日系人材紹介事業者のレバレジーズは、同社プレスリリースにおいて10月9日からメキシコでの人材紹介事業を本格開始したことを発表した。同プレスリリースによると、求職者の登録は年間1,000人を見込んでおり、日本やメキシコでの就職セミナーなどのイベントを年2回開催する予定。2020年度までに500人の転職支援を目指すとしている。同社のメキシコ進出の狙いは、人材確保が追い付かず需要と供給のミスマッチが起こっている現状を解決することだ。同社は「メキシコで働きたい求職者や、いい人材を採用したいという企業のニーズがあるにもかかわらず、メキシコの就職に関する情報が少ないため、求職者と企業が出会う機会が限られている」と分析している。

メキシコ日本商工会議所労務委員会が2018年8月に発表した「2017年度現地従業員給与・実態調査結果リポート」によると、バヒオ地域を中心に自動車産業の日系企業が集積している地域では、人件費が上昇している。同調査の自動車産業における人件費の変化をまとめたデータを表にまとめた。

表 メキシコ従業員給与実態調査(平均月収)

ジェトロが2018年1月に発表した2017年度中南米進出日系企業実態調査によると、メキシコに進出している日系企業が雇用・労働面の問題点として最も挙げているのが「人材の確保」だ。一般スタッフ、中間管理職、一般ワーカー、技術者の人材の確保について聞いたところ、メキシコ進出日系企業が「問題だ」と回答している割合が、他の中南米諸国進出企業の回答よりも全ての職種において最も高かった。特に、中間管理職については42.9%が「人材の確保」に課題を抱えていると回答、中南米で唯一4割を超えており、人材紹介サービスのニーズはあるとみられる。

なおメキシコでは、派遣労働者を社会保険登録なしで働かせ、税金や社会保険負担金の支払いを回避している人材派遣業者が存在するため、政府は人材派遣会社に対する取り締まりを強化しており(2017年3月27日記事参照)、信頼できる派遣会社を利用する必要がある。

(岩田理)

(メキシコ)

ビジネス短信 23da33df79bdb715