IMF、2018年のGDP成長率予測を3.2%に上方修正

(オーストラリア)

シドニー発

2018年10月17日

IMFは10月9日に発表した世界経済見通しの中で、2018年のオーストラリアの実質GDP成長率予測を3.2%と、前回見通し(4月)の3.0%から0.2ポイント上方修正した一方、2019年は2.8%と、前回見通しの3.1%から0.3ポイント下方修正した(表参照)。また、2020年から2023年までは2%台後半の成長を予想した。

表 オーストラリアの経済見通し

オーストラリア経済は1991年7~9月期から2018年4~6月期まで、108四半期連続で景気後退(2四半期連続のマイナス成長)がなく、世界最長記録を更新している。2018年をみると、第1四半期は前年同期比3.2%、第2四半期は3.4%と好調で、通年でも2012年の3.9%に次ぐ3%台の高成長が予想されている。

IMFは2019年の成長率見通しの下方修正について、「要因の一部は、最近導入された『貿易措置』による悪影響」とした。この「貿易措置」が何を指すかは明記していないものの、国内では、米国による対中貿易制限措置を指すとの報道が多い。

IMFは今回の見通しで、消費者物価上昇率を2018年2.2%(前回見通しと同様)、2019年2.3%(0.1ポイント低下)、失業率を2018年5.3%(前回見通しと同様)、2019年5.0%(0.2ポイント低下)とした。また、人口は約3年ごとに100万人増加する見通しとした。人口についてはオーストラリア統計局も同様に、約3年ごとに100万人増加しており、2018年8月に2,500万人を超えたと発表している。

フライデンバーグ財務相は、G20財務相会合に向かう前日の10月10日に記者会見を行い、「G20財務相会合では、オーストラリア経済の強靭(きょうじん)さと、米中間の貿易摩擦が制御不能な段階に陥らないよう努力する必要性を強調したい」と述べた。米中貿易摩擦については、「これまでのところ、マクロ経済に大きな影響は出ていない」としつつ、「オーストラリアにとって輸出は非常に重要で、自由貿易が雇用、投資、高成長に貢献することを強調する」と語った。

(中里浩之、小柳智美)

(オーストラリア)

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