変化への対応求められる自動車業界、ACMAが年次総会

(インド)

ニューデリー発

2018年09月18日

インド自動車部品工業会(ACMA)の58回目の年次総会が、9月5日にニューデリーで開催された。同総会では、関連閣僚や主要自動車メーカー代表らが登壇し、主に以下の3点のポイントについて語った。

1点目は、「排ガス規制や安全基準の強化」だ。排ガス規制としては、2020年から開始となる「バーラト・ステージVI」が挙げられる。これは、現行の排ガス規制「バーラト・ステージIV」に代わるもので、EUの排ガス規制「ユーロ6」と同等の厳しい規制だ。他方、安全基準強化としては、2019年から全ての車にエアバッグなどの安全関連の装備が義務化される。

2点目は、「環境対策車を筆頭とした新技術の導入」だ。インドでは大気汚染の問題や、石油輸入で貿易赤字が拡大している現状から、エネルギーシフトの必要性が高まっている。そのため、電気自動車(EV)を筆頭とした環境対策車の導入や、こうした変化に対応するための新技術の積極的な導入が求められている。これについて、マルチ・スズキ・インディアの鮎川堅一社長は「エネルギーシフトを実現するために、EV、ハイブリッド、圧縮天然ガス(CNG)、メタノールなど、さまざまな技術にオープンであるべきだ」と語った。

他方、政府内で導入に向けた議論が長引く廃車政策について、早期での議論の終結を要望した。この背景には、インドでは安全面や環境面に問題のある古い車が廃車されない現状がある。また、ニティン・ガドカリ道路交通・高速道路相は、インドが抱える貿易赤字に対し、輸入を抑え輸出を拡大していくことの重要性を強調し、現地調達の向上や、代替燃料へのシフトについて言及した。その実現のためには「イノベーションと新技術の導入が不可欠」とし、その循環で経済全体の強化が図られる、と語った。さらに、タタ・モーターズのギュンター・ブチェック社長兼最高経営責任者(CEO)は、世界の潮流と同様に、「インドでも部品のモジュラー化が進む」とし、「その流れに対応できる力をインドの自動車部品産業はつけなければならない」と語った。

3点目は、「消費者の嗜好(しこう)や車の利用スタイルに合わせた新しい動きへの対応」だ。これらの動きとして、車を保有せずサービスとして利用するカーシェアリングや、車利用時のデータをITと接続し、さまざまなサービスや機能に繋げるコネクテッドカーなどが挙げられた。

(古屋礼子)

(インド)

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