広東省、無資格配車サービスの取り締まりを徹底

(中国)

広州発

2018年09月11日

広東省政府は8月28日、2018年末までに資格要件を満たさない、もしくは無資格のネット配車サービスの取り締まりを徹底すると発表した。配車サービス大手の滴滴出行の利用者殺害事件(2018年9月5日記事参照)を受けたもの。

広東省で営業許可を取得しているネット配車サービス企業は20社以上あり、ドライバー登録数は5万2,260件、車両登録台数は5万138台とそれぞれ全国の17.7%、30%を占め、いずれも全国最多とされる。

ネット配車サービスへの規制は、2016年7月に国務院が「改革の深化によるタクシー業界の健全な発展の推進に関する指導意見」(国弁発〔2016〕58号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、交通運輸部など7部門が連名で「ネット予約タクシー経営サービス管理暫定弁法」(2016年第60号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表したことに始まる。

国の方針に合わせ、広州市では2016年11月に「広州市ネットワーク予約タクシー経営サービス管理暫定弁法」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、深セン市では同年12月に「深セン市ネットワーク予約タクシー経営サービス管理暫定弁法」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが施行された。また、広東省は2018年2月に「広東省タクシー経営管理弁法」(粤府令第247号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを施行、ネット配車を行う企業に対し当局への情報提供や、車両登録を義務付けた。

しかし、今回問題となった滴滴出行は広州市、深セン市、珠海市、東莞市、恵州市、中山市に拠点を設立しているが、珠海市、中山市では営業許可を取得していなかった。また、車両情報や走行ルートなど監督部門へ送付すべき情報が提供されておらず、規制が十分に作用していなかった。違法状態での操業が見逃されていたことになる。

これまで、政府が取り締まりに積極的でなかったのは、2017年に広州市政府が「滴滴順風車(注)」のドライバーに敗訴した事件の影響が考えられる。広州市政府は「滴滴順風車」のドライバーに対し、未登録で旅客運送業務を行ったとして3万元(約48万円、1元=約16円)の罰金を科したものの、行政訴訟で敗訴し処罰が取り消しとなった。判決理由に「ネット配車サービスの発展を支援すべき」との内容があった、と報じられている(中国新聞網2017年11月21日)。

(注)中国のネット配車サービスについては、一般的なタクシー、自家用車を利用した旅客運輸専門の車両、通常使用の自家用車への相乗りなどに分かれる。滴滴出行では、それぞれ「滴滴出租車」「滴滴快車」「滴滴順風車」としてサービスを展開。

(河野円洋)

(中国)

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