ASEAN経済相会合、デジタル関連の取り組みで進捗

(ASEAN)

バンコク発

2018年09月03日

第50回ASEAN経済相会合(AEM)が8月29日、シンガポールで開催された。議長であるシンガポールのチャン・チュンシン貿易産業相は開会式で、近年の貿易の緊張激化が多国間貿易システムそのものを揺るがしており、今や開かれた貿易関係が自明のものではなくなったという認識を示した上で、ASEANとしては、ASEAN経済共同体(AEC)の「ブループリント2025」の取り組みを進めてさらに深い統合を進める決意を表明した。そのために、ASEAN加盟国それぞれで補完できる領域を明確にし、多国間のルールに基づいた貿易関係を維持することで、ASEANの中心性を保つ必要があることを強調した。

2018年の議長国シンガポールは「強靭(きょうじん)性と革新性」をテーマに掲げ、特にデジタル経済への対応を進めてきたところ、今回の経済相会合で幾つかの具体的な進捗が見られた。まず電子商取引関連については、2017年の前回会合でASEAN電子商取引ワークプログラムが採択されていたところ、今回はASEAN電子商取引協定が採択された。協定の内容まだ公表されていないものの、11月の第33回ASEAN首脳会合での署名を目指すとしている。また併せて(1)シームレス貿易の促進、(2)デジタル貿易・イノベーションを支援するかたちでのデータ保護、(3)シームレスな電子決済の実現、(4)デジタル人材の育成、(5)起業家育成、(6)さまざまな領域の調整機能、の6つの優先取り組み分野を今後12~18カ月の間に行うという、ASEANデジタル統合枠組みも合意された。さらに4月のASEAN首脳会合で打ち出されたASEANスマートシティネットワーク(ASCN)構想については、地域開発にシナジー効果をもたらし、成長や革新、持続可能な開発のためのさらなる機会を与えるプラットフォームであることがあらためて認識された。

(蒲田亮平)

(ASEAN)

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