遼寧省、全国初の「一帯一路」総合試験区を建設へ

(中国)

大連発

2018年09月28日

9月10日付の現地報道によると、中国共産党遼寧省委員会と遼寧省政府は8月27日、「遼寧『一帯一路』総合試験区建設全体計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、計画)を公布した。全国で初めて「一帯一路」総合試験区の建設について定め、「一帯一路」構想による全面開放、産業と貿易のさらなる振興を目指している。

計画の重点は、遼寧省を中核とした中国、北朝鮮、日本、韓国、ロシア、モンゴルの6カ国により「北東アジア経済回廊」を共同で建設することだ。また、大連自由貿易港の創設や、遼寧省と京津冀地域(北京市・天津市・河北省)、雄安新区、長江経済ベルトなどの重点発展地域との連結を加速させることも挙げた。さらに、対外開放の新たな理念として「三核三区、両廊両沿、七港七路、双園双融、一網一橋」(添付資料参照)を掲げ、遼寧省を「一帯一路」構想の先行区、北東アジアにおける国際協力の先導区、全面的な開放により地域振興を牽引するモデル地域へと発展させるとした。

「北東アジア経済回廊」の建設については、北朝鮮と、丹東を起点として平壌、ソウル、釜山までつながる鉄道、道路、情報網をそれぞれ構築するとしたほか、中央政府が適切な時期をみて「丹東特区」を設置するとした。さらに、丹東重点開発開放試験区、中朝黄金坪経済区、丹東国門湾中朝辺民互市貿易区を重点地域として、北朝鮮との貿易を促進するとした。

日本とは、日中韓首脳会談や日中ハイレベル経済対話によってサービス貿易を推進させるほか、日中韓3カ国による自由貿易区の共同建設を重点とした。分野別では、先端設備、人工知能(AI)、省エネ・環境保護、ヘルスケアなどの分野において協力を深め、第三国市場を共同で開発していくとした。さらに、遼寧省に所在する日本の商工組織・領事館・民間友好団体などの機能を生かし、日本の有力企業を積極的に誘致することにより、日中ハイテク産業パークを共同で建設するとした。そのほか、大連を北東アジアの国際海運・物流センターとすることや、瀋陽を先端設備製造業の重点発展地域および北東アジアのイノベーションセンターとすることなども計画に盛り込まれた。

計画では、2030年までに先端設備製造業における国際的な協力、周辺国との相互連結、新型の自由貿易などの領域における遼寧省の影響力を高め、北東アジアにおける「一帯一路」構想における玄関口としての機能を一層明確にするとした。

(李穎)

(中国)

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