301条公聴会、化学や半導体産業は追加関税賦課に反対

(米国)

ニューヨーク発

2018年08月02日

米通商代表部(USTR)は7月24~25日、1974年通商法301条(以下、301条)に基づく対中輸入追加関税賦課に関する公聴会を開催した。本公聴会は6月15日にUSTRが公開した関税賦課候補品目のうち、「中国製造2025」など中国政府の産業政策の対象品目を含む284品目PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(対中輸入額160億ドル)に対するもの(2018年6月18日記事参照)。

証言した80を超える企業・団体のうち、大半が301条に基づく追加関税賦課に反対の姿勢を示し、追加関税は米国における生産コストの上昇や消費者の負担増につながり、米国経済を悪化させるとの懸念を述べた。

化学品メーカーや業界団体は、プラスチック製品および化学製品への追加関税賦課は、消費者や化学品原料を使用する幅広い分野の製造業に甚大な影響を与えると反対した。特に医療関連製品は、原料を変更する場合の認可取得に長い時間を要するため、主要生産国である中国に代わる調達先を探すことは困難との認識を示した。また米国化学協議会(ACC)は、中国の報復関税の対象品目のうち化学品が半数近くを占めていることに言及し、米国製化学品の輸出に甚大な影響が及ぶとの懸念を示した。

電子機器メーカーや業界団体は、電子機器・部品、特に半導体関連製品への追加関税は、テレビや携帯電話、家電など消費者に身近な製品の価格上昇を招くとして追加関税対象からの除外を求めた。米国半導体工業会(SIA)は、半導体は米国で4番目の規模を誇る輸出産業だが、部品の多くは中国から輸入されているため、追加関税が賦課された場合、米国製半導体の国際的な競争力も失われるとの強い懸念を表明した。

そのほか、輸送用コンテナ、LED、電子たばこ関連製品などについても追加関税の対象から除外を求める声が上がった。

一方、鉄鋼団体は建築物などに使用される鉄鋼品への追加関税賦課を支持した。中国は米国のインフラ市場に関心を示しており、中国政府の不正な補助金により廉価な加工済み鉄鋼品が近年米国に大量に流入していると述べ、追加関税賦課により公平な市場環境を整えるよう訴えた。

(須貝智也)

(米国)

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