スタートアップとの交流求める同族企業

(ドイツ)

ベルリン発

2018年08月08日

同族経営の大企業がスタートアップとの交流を求めているとする調査結果を、ドイツ産業連盟(BDI)とドイツ銀行が7月11日に公表した。調査では、売上高5,000万ユーロ以上の同族経営の大企業(以下、企業)約250社が回答した。

調査によると、回答企業の約半数は将来の事業戦略について既にスタートアップと協力しており、54%が技術開発を目的とした協力に関心があると、回答している。

「企業はデジタル化の影響で、短期の製品サイクルに適応できるよう改革の必要に迫られており、スタートアップとの協力はその対策の1つ」とドイツ銀行のステファン・ベンダー氏はみている。

調査では、他社との連携経験のない企業の3分の1弱が、スタートアップと協業する場合の課題に「異なる企業文化」を挙げた。他方、協業経験のある企業の約70%はスタートアップとの協力について、「満足」と回答した。回答企業の半数が3年以内にスタートアップとの協業を計画している。

スタートアップとの協業を検討する際に重要なこととして、73%の企業が「創業者の当該産業での経験」、66%が「協力により直ちに得られる付加価値」と回答し、37%が地理的近接性が重要とした。

スタートアップと協業する企業の46%が企業とスタートアップをつなぐ機会としてポータルサイトを、30%がネットワークイベントを希望した。現状、オンラインプラットフォームによる関係創出は約7%にとどまり、実際は個人的なつながりに依存していることから、そのため、全体の3分の2の企業が公的機関によるさらなる支援が必要と回答した。

BDIのホルガ・ロッシュ副事務局長は「ドイツのスタートアップにとって煩雑な行政手続きは大きな重荷となっている」と指摘した上で、「イノベーションを促進し、ドイツのビジネス立地としての競争力強化のため、投資を促進し、研究開発のための減税措置を速やかに導入すべき」と述べ、スタートアップを中堅企業に育てることや、将来における既存企業の競争力の保持を目的とした支援が必要とした。

(増田仁)

(ドイツ)

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