東部経済回廊(EEC)、恩典申請手続きの詳細も判明

(タイ)

バンコク発

2018年08月30日

ジェトロが8月10日に開催した「東部経済回廊(EEC)ワークショップ」(2018年8月20日記事参照)では、EECに関する恩典申請手続きや、外国人高度人材を対象とした「スマートビザ」の要件についても明らかになった点があった(2018年8月29日記事参照)。

投資申請はBOIへ、EEC事務局は制度改善を担当

タイ投資委員会(BOI)のドゥアンジャイ長官は「EECの追加恩典(法人税減免期間の延長など)を得るには、BOIが指定する10のターゲット産業(117業種)に属する必要がある」旨を強調した(注1)。その上で、EECへの投資はまず、BOIに相談してほしいと述べた(注2)。この点に関し、カニットEEC事務局長は、「BOIは細かい申請手続きを管轄し、EEC事務局は大きな方向性を描く」と、BOIとEEC事務局の機能の違いを説明した。具体的には、EEC事務局は新しい産業分野における投資誘致のため、制度改正など投資環境を改善し、BOIから恩典認証された企業には、歳入局が個人所得税を減免する。

実習生の受け入れはBOIに相談を

企業がEECで追加恩典を得るための条件として、教育機関と連携した実習生の受け入れがある。カニット事務局長は「タイ政府がパートナーとなる教育機関や実習プログラムを紹介できる。まずはBOIに相談してほしい」としている。

スマートビザの条件を緩和へ

EEC域内に限らず、10のターゲット産業で働く外国人高度人材に対し、労働許可証なしでタイ滞在・就労を許可する「スマートビザ」が2018年2月から開始された。しかし、日系企業は申請要件である月額20万バーツ(約68万円、1バーツ=約3.4円)以上の給与支払いについて、達成が困難、と指摘していた。ドゥアンチャイBOI長官はこの点について、「各種手当も給与額に含めること、また定年退職した高度技術者には低い条件を課することなどの条件緩和を検討している」と回答した。

(注1)10のターゲット産業とは、バイオ化学、デジタル、医療ハブ、自動化・ロボット、航空、エレクトロニクス、観光、次世代自動車、食品、農業。

(注2)タイ側コメントによると、EECにおける投資恩典について、企業はBOIに相談できるが、タイ工業団地公社(IEAT)が管轄する工業団地に入居している企業は、IEATにも相談が可能だ。

(田口裕介)

(タイ)

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