不動産開発プロジェクトの登録数はMH州が過半数

(インド)

ムンバイ発

2018年08月21日

インド商工会議所連盟と大手会計事務所グラントソントンは8月10日、不動産の開発・販売規制に関する法律(通称:RERA)施行から1年3カ月を経て、インド全体の不動産開発プロジェクト登録数は3万1,500件となり、その約54%に当たる1万7,125件が西部のマハーラーシュトラ(MH)州で登録されたと発表した。施行から約半年経過した2017年12月時点では、登録数が約2万件、MH州は約1万4,000件だった。インド全体での登録数が増える中、国内でいち早くRERAを施行したMH州の登録数のシェアは低下したものの、過半数を占めている。

中央政府は2017年5月にRERAを施行し、一定規模以上のプロジェクトや不動産販売代理店の登録などを義務付け、物件購入者から支払われた資金の使途を制限し、納期遅延に対する罰則規定も設けた(2018年2月1日記事参照)。これにより、工期遅延やプロジェクト頓挫の原因の1つだった購入資金の目的外流用が制限され、資金力やプロジェクト管理能力に乏しいデベロッパーが選別され始めたことで不動産市場の信頼性が高まっている。

不動産仲介大手のナイト・フランクが発表した2018年上期の不動産市場に関するレポートによると、MH州の州都ムンバイでは住宅の販売件数が前年同期の2.3倍に増えたとして、この要因の1つとしてRERAの導入を挙げるなど、RERAの施行が国内外からの投資の増加や不動産市場の伸びにつながっている。

罰則規定に関しても比較的厳格に運用されており、MH州当局が、未登録プロジェクトの広告を掲載したなどとして、複数の建設会社に20万~100万ルピー(約32万円~約160万円、1ルピー=約1.6円)の罰金を科すなど、不正排除の努力もみられる(「ビジネス・ライン」紙2018年3月13日)。

(比佐建二郎)

(インド)

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