緊張の高まるサウジ・カナダ関係、通商に影響も

(サウジアラビア、カナダ)

リヤド発

2018年08月13日

サウジアラビア政府は8月6日、カナダのクリスティア・フリーランド外相が8月2日にソーシャルメディア上で、サウジ国内で拘束されているサウジアラビア人女性人権活動家らの釈放を求めたことと、在サウジアラビア・カナダ大使館もこれに同調したことに対し、内政干渉だと非難するコメントを発表した。政府はまた、駐カナダ大使を召還するとともにカナダ外交団に対して国外退去を求める措置を取るなど、両国関係は急激に悪化している。

8月8日には、サウジアラビア国営通信(SPA)がジュベイル外相によるより強い言葉での非難を報じたほか、サウジアラビアがカナダとの新規ビジネスを停止する旨を伝えている。具体的な動きとしては、サウジアラビア国営航空会社サウディーヤ(SAUDIA)が7日、トロント便を8月13日以降停止すると発表。サウジアラビア教育省も同日、現在カナダに滞在している約1万2,000人のサウジアラビア人留学生および同伴者を、カナダ以外の国へ再派遣するための措置を取ることを発表した。

バーレーンとアラブ首長国連邦(UAE)は8月6日、クウェートとオマーンも7日に相次いで、サウジアラビアと歩調を合わせるコメントを発表しており、周辺国のみならずアラブ連盟、イスラム協力機構(OIC)なども同調する姿勢を表明している。

2017年のカナダの通関統計によると、サウジアラビア向け輸出は11億1,239万米ドルで、輸入は20億2,686万米ドルだった。輸出シェアは0.3%、輸入シェアは0.5%と小さく、カナダ側が受ける影響は限定的とみられるものの、カナダ企業にとっては今後、サウジアラビア国内で動き出す各種プロジェクトに関わりづらい状況となることが予想される。

(柴田美穂)

(サウジアラビア、カナダ)

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