2018年の非石油部門の地場輸出、予測を上方修正

(シンガポール)

シンガポール発

2018年08月21日

貿易産業省(MTI)傘下のエンタープライズ・シンガポール(ESG)は8月13日、シンガポールの輸出指標である非石油部門の地場輸出(再輸出を除く輸出)の2018年通年の予測を「前年比2.5~3.5%増」と、これまでの「1.0~3.0%増」から上方修正したと発表した。予測の引き上げは、2018年第2四半期の貿易実績が事前の予想を上回る好調な伸びを示したのを受けてのもの。ESGは、2018年通年の貿易総額の予測についても「5.0~6.0%増」と、それまでの「3.0~5.0%増」から上方修正した。

ESGによると、非石油部門の地場輸出は2018年第2四半期に前年同期比9.4%増と、前期の1.1%増から伸びが拡大した。第2四半期のエレクトロニクスの輸出は7.6%減と、前期の7.9%減に続いて2期連続でマイナスとなった。一方、非エレクトロニクスの輸出は16.6%増と、調製食料品や土木機器、医薬品の輸出が好調だったのを受け、非石油輸出全体の伸びを牽引した。

貿易総額(再輸出と輸入含む)も2018年第2四半期は前年同期比10.2%増と、前期の2.5%増から加速した。石油関連の貿易額が原油高を反映して23.2%増加したのに加え、非石油部門の貿易額も7.1%増加した。

高まる世界経済リスク、GDP成長率は2018年下半期に鈍化へ

MTIは同日、2018年第2四半期の実質GDP成長率(改定値)が前年同期比3.9%と、第1四半期の4.5%から伸びが縮小したと発表した(表参照)。前期比年率(季節調整済み)では第2四半期に0.6%で、前期の2.2%から鈍化した。

表 シンガポールの実質GDP成長率の推移

MTIは2018年通年のGDP予測について、これまでの「前年比2.5~3.5%増」を維持した。同省は今後の見通しについて、「2018年の上半期は堅調だったが、下半期には経済成長が軟化する」との見方を示した。一方、卸売り取引や金融・保険など外部需要に左右される部門の伸びは下半期に鈍化が予想されるものの、小売りや飲食などは雇用市場の改善による消費者心理の回復に下支えされるとみている。

また、MTIは発表の中で、米中の貿易摩擦や世界的な金融引き締めの傾向を受け、「国際経済を取り巻く不透明感が深まり、下振れリスクが高まっている」と指摘した。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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