第2四半期のGDP成長率は前期比0.4%に回復

(英国)

ロンドン発

2018年08月16日

国民統計局(ONS)の8月10日の発表によると、2018年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比0.4%となり、第1四半期の0.2%を上回った(図参照)。

図 英国の四半期別GDP成長率の推移

ONSは「降雪など悪天候の影響で落ち込んだ前期の反動に加え、第2四半期は好天に恵まれたこともあり、小売業や建設業が伸びた」と分析。前期は横ばいだった卸・小売業のGDPは前期比1.6%増となり、同じく0.8%減だった建設業は0.9%のプラスに転じた。また、サービス部門でも運輸・倉庫・通信が1.3%増となり、これらが第2四半期の回復を牽引した。

しかし、製造業は前期比0.1%減だった第1四半期に続き、第2四半期も0.9%減となり、建設やサービスの復調を相殺するかたちとなった。自動車や航空機の輸出が落ち込んだことで、輸出は3.6%減少し、貿易赤字は85億8,000万ポンド(約1兆2,180億円、1ポンド=約142円)と47億4,000万ポンド拡大した。

前年同期比では1.3%と最低水準

第2四半期の成長率は、前年同期比では1.3%となり、第1四半期の1.2%を上回ったものの、過去数年でも最低の水準にある。GDPの約8割を占めるサービス部門の減速が鮮明になってきており、比較的好調だった建設業も2018年になって陰りが見え始め、家計最終消費支出も2017年後半から鈍化が顕著になっている(表参照)。6月単月のサービス部門は、前月比の伸びがゼロだった。

表 英国の実質GDP成長率(前年同期比)

OECDは5月、2018年の英国の実質GDP成長率予測を1.3%から1.4%に引き上げたが(2018年6月8日記事参照)、欧州委員会は7月に1.5%から1.3%に引き下げている。EU加盟国の多くも上半期の成長が当初予測をやや下回ったため、欧州委は英国を除くEU27カ国全体の予測を2.5%から2.1%に下方修正した。

こうした中、イングランド銀行(中央銀行)は8月1日、9カ月ぶりの利上げに踏み切った(2018年8月3日記事参照)。それ自体は市場の予想どおりだが、EU離脱(ブレグジット)交渉の先行き不透明感が増したことで(2018年8月9日記事参照)、通貨ポンドは8月に入って大きく下落。利上げにもかかわらずポンド安が続けば、インフレが再燃して消費を冷え込ませる可能性もある。当面は景気の下振れ材料が多い状況が続きそうだ。

(宮崎拓)

(英国)

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