フロリダ州、ボート・アルミ・農水産品など幅広い分野に影響か

(米国)

アトランタ発

2018年08月09日

全米商工会議所によると、フロリダ州の輸出関連の雇用が250万人で、追加関税の影響を受ける主要品目の輸出額は7億ドルとなっている。

最大の打撃を被るのはモーターボートやヨットなどの小型船舶で、影響額は2億7,000ドル超に上る。オーランドのボート製造会社コレクト・クラフトのビル・イヤーギンCEO(最高経営責任者)は「中国製の300あるボート部品が10%または25%の追加関税対象となる上、完成品が輸出先からの報復措置対象(対カナダ10%、対メキシコ15%、対EU25%)となり、輸出先での大幅な値上げにつながる。全生産の30%が輸出のため、従業員1,300人中200人が解雇の危機にある」と、ビル・ネルソン米上院議員(民主党)に訴えた。

鉄鋼価格は既に上昇し、米国製が輸入品価格を上回る現象に陥っている。州内各地では大型建設工事が行われており、建築価格への影響が深刻だ。

アルミニウムについては、アルミスクラップが対中国輸出影響品目トップとなるほか、2017年、州内の工場にアルミ製ボトル缶製造ラインを開設し、75人を追加雇用したビール会社アンハイザー・ブッシュへの影響も懸念される。

州の代表的な産品であるオレンジは中国・メキシコ・EUからの報復措置対象リストの筆頭で、ロブスターやザリガニ(対中国)、コーヒーばい煎豆(対カナダ)、チーズなどの食品加工品(対メキシコ)も影響が大きい。

フロリダ商工会議所は「追加関税は報復措置を招く。州経済に悪影響を及ぼし、消費や雇用にも響く」と批判、フロリダ小売業連盟のスコット・シャレーCEOも「追加関税は州内27万の小売店だけでなく、全ての業種に悪影響を及ぼす。物価が上昇して住民や観光客の消費が落ち込めば、加盟小売店の売り上げは減少し、従業員解雇など住民の生活が脅かされる」と懸念を表明した。

一方、任期満了を迎えるリック・スコット州知事(共和党)は、11月の米上院議員選挙に立候補を予定しており、「自由貿易は公平であるべき。米国産品も輸出品も同等の待遇であるべき」と慎重な姿勢だ。商工会議所と良好な関係にある、対抗馬のネルソン上院議員は対照的に、「物価上昇や国際貿易戦争につながる」と批判姿勢を明確にしている。

対中国強硬派のマルコ・ルビオ上院議員(共和党)はツイッターで、「カナダ・メキシコ・日本・EUと協力して、対中国に照準を当てるべき」と述べている。

(ラマース直子)

(米国)

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