経済交流の活発化を首脳会談で合意

(ロシア、韓国)

欧州ロシアCIS課

2018年07月03日

プーチン大統領は6月22日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領とモスクワで会談し、両首脳はロシア極東開発を中心に両国間の経済協力をさらに活発化させることを合意した。

ロシア大統領府によると、会談後の共同会見でプーチン大統領は韓国との良好な経済関係に言及。2017年の韓国との貿易額は前年比27.3%増の192億ドル、2018年1~4月期は前年同期比6.5%増で、アジア太平洋地域で2番目の貿易相手国となったほか、韓国からの投資は12億ドル(注)で150社以上が工業、食品加工、農業、ホテル業などで活動していることに触れた。また、エネルギー分野ではヤマル液化天然ガス(LNG)事業向けタンカー15隻が韓国にて建造中で、韓国ガス公社(KOGAS)が天然ガス開発事業「アルクテクLNG-2」に資本参加を検討していることなどを挙げた。さらに、沿海地方の造船企業「ズベズダ」での技術革新や北極海航路やシベリア鉄道活用に韓国企業が果たす役割を評価。2018年9月にウラジオストクで開催される第4回東方経済フォーラムに文大統領を招待したことなどを述べた。

文大統領は両国協力のさらなる活発化で一致したと発言。a.スタートアップや中小企業の交流を支援する「韓国・ロシアイノベーションセンター」の創設(モスクワ)、b.極東を中心とした協力事業「協力の9つの橋」(鉄道、エネルギー、天然ガス、造船、港湾施設など)の推進、c.保健医療分野での協力(ロシア版シリコンバレー・スタートアップ拠点「スコルコボ」での韓国資本による病院の建設、遠隔診断の実施など)を挙げたほか、両国政府内でサービス・投資協定の交渉に向けた手続きを開始すること、将来的に北朝鮮を含めた3カ国による共同事業の準備として、韓国・ロシア両国で鉄道、送電網、ガスパイプラインの接続に向けた調査を開始することで合意したと明らかにした。

このほか文大統領は6月21日、ドミトリー・メドベージェフ首相と会談したほか、下院で演説を行い、ビチェスラフ・ボロジン下院議長とも会談を行った。22日にはロシア・韓国ビジネスフォーラムに参加し、ユーリ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表と会談し、両国の貿易額を2020年に300億ドルまで引き上げると意欲を示した。これに対しトルトネフ副首相は、ロシア極東での韓国企業の投資案件は現在6件で、投資総額は5,000万ドルと述べている。

(注)ロシア中央銀行の統計によると、2017年12月末時点の韓国の対ロ投資残高は19億ドルとなっている。

(高橋淳)

(ロシア、韓国)

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