小米が香港証券取引所に上場、370億香港ドルを調達

(香港)

香港発

2018年07月23日

スマートフォンやモノのインターネット(IoT)・家電製品の販売事業などを展開する中国大手企業の小米(シャオミー)グループ(以下、小米)は7月9日、香港証券取引所で株式を上場した。

初日は公開価格を割り込み終了

9日の小米株式は、公開価格の17香港ドル(約238円、1香港ドル=約14円)を下回る初値(16.60香港ドル)をつけた後、一時16香港ドルまで値を下げ、その後持ち直したものの、終値は16.80香港ドルと公開価格から1.2%下落した。

香港の経済紙「香港経済日報」(7月9日)は、小米株式の上場初日の値動きが低調だった要因について、「米中貿易戦争の影響により相場の地合いが悪く、中国政府が進める産業政策の『中国製造2025』における重点投資分野である小米の株式は、米国による関税措置の影響を受けた」ことに加え、「小米は、中国本土市場で預託証券(CDR)の上場準備を進めていたが、中国証券監督管理委員会(CSRC)が84項目にわたる問題点を指摘し、上場計画が中断したことから、『小米は過大に評価されている』との推測が広がった」と分析した。

小米は、9日の新規株式公開(IPO)によって370億香港ドルを調達した。香港紙は「当初小米は、IPOを通じて1,000億香港ドルの調達を目指していたが、米中貿易摩擦による市場環境の悪化の影響を受けた」と報じている(「サウスチャイナ・モーニングポスト」7月9日)。

「議決権種類株式」の香港上場は初めて

小米の香港上場は、2018年4月に香港証券取引所が議決権に関する種類株式(議決権種類株式、注)の上場制度を導入して以降、同株式による上場を認めた初めてのケースとなる。同日開かれた香港証券取引所での上場記念式典において、小米の雷軍会長は、香港大手コングロマリットである長江和記実業の創始者の李嘉誠氏や中国大手電子商取引(EC)企業のアリババグループの馬雲(ジャック・マー)会長ら10万人以上の投資家に謝意を表すとともに、「香港の資本市場改革がなければ、当社が香港市場で上場することは困難だった」と語った。

同式典に参加した香港特別行政区政府の陳茂波(ポール・チャン)財政官は、「議決権種類株式上場制度の導入などの市場改革によって、香港市場はより実体経済を反映したものとなった。香港の証券市場は新たな発展段階へと突入した」と述べた。

(注)香港証券取引所は、上場規則を改正し、普通株より議決権が多い種類株式の上場を認めた。申請企業の時価総額が400億香港ドル以上、または時価総額が100億香港ドル以上かつ売上高が10億香港ドル以上であることが条件。

(吉田和仁)

(香港)

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