米EPA、2019年バイオ燃料使用義務量の規則案を公表

(米国)

シカゴ発

2018年07月05日

米国環境保護庁(EPA)のスコット・プルイット長官は6月26日、輸送用燃料に添加するバイオ燃料の2019年における最低使用義務量に関する政府案PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。今後、パブリックコメントなどの手続きを経て、11月末までに最終規則が決定される予定。

輸送用燃料に平均10.9%のバイオ燃料添加義務

2006年に大気浄化法(Clean Air Act)に基づき導入された再生可能燃料基準(Renewable Fuel Standard)に関しては、2007年のエネルギー独立安全保障法(Energy Independence and Security Act of 2007:EISA2007)により長期的な目標値が設定され、その後、2010年に現在の規制の枠組みが制定されている。この規制にのっとり、EPAは輸送用燃料におけるバイオ燃料の最低使用義務量を毎年定めているが、今回発表された政府案によると、2019年において石油精製業者は前年比3%増となる約199億ガロン(日量換算130万バレル)以上のバイオ燃料をガソリンや軽油に添加することが必要となる。これは、ガソリンおよび軽油に対して平均で約10.9%のバイオ燃料を添加することを意味する。

添加義務量の4分の3はトウモロコシ・エタノール

約199億ガロンのバイオ燃料添加義務量のうち、約4分の1に当たる約49億ガロン(日量換算32万バレル)については先進型バイオ燃料を使用することとされている。残る150億ガロン(日量換算98万バレル)は主にトウモロコシを原料とするエタノールで賄われており、米国中西部における農業生産量に影響を与えている。

トウモロコシ由来のエタノールについては、EISAによる長期目標が設定された2007年当時から順調に生産が増加しているが、食料と競合しないセルロース・エタノールの開発・生産は想定どおりには進んでいない。2019年の添加目標値85億ガロン(日量換算55万バレル)に対して、今回の政府案での義務量は前年比約1億ガロン増の約4億ガロン(日量換算2.5万バレル)にとどまっている。

なお、2019年のバイオ燃料の最低使用義務量に加え、バイオマス由来の軽油に関する2020年の最低使用義務量(前年比3億ガロン増の24億ガロン)も同時に提案された。

(上村真、ピン・チー)

(米国)

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