4月の産業活動指数が干ばつの影響で急降下

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年07月02日

国家統計センサス局(INDEC)は6月26日、4月の産業活動指数(注)について前年同月比マイナス0.9%、前月比マイナス2.7%という結果を発表した。前年同月比では2017年2月以来のマイナスとなった。産業活動指数は実質GDP成長率の先行指標とされており、今後のGDP成長率にも影響を与えることが見込まれている。

図 産業活動指数

今回のマイナスの主な要因は、50年に一度といわれる干ばつで大豆が不作となり、「農業・畜産など」セクターが前年同月比マイナス30.8%となったことだ。2017年10月~2018年9月期の大豆の生産量は前期比37%減の約3,600万トンになると見込まれるなど、今回の指標に大きな影響を与えたとされる。

しかし、11セクターのうち9セクターはプラス成長を記録した。漁業(前年同月比10.8%)、建設業(10.2%)、金融仲介業(9.4%)は高い伸びを示し、卸売業・修理(5.5%)や製造業(3.1%)も堅調に伸びている。

経済アナリストの間でも干ばつの経済活動への影響は年初から見込まれていたが、予想を上回るインパクトを与えているという(「エル・クロニスタ」紙2018年6月27日)。

また、5月以降の産業活動指数には、4月下旬から5月上旬に発生した通貨ペソの急落とそれに伴う政策金利引き上げによる工業・通商部門へのマイナスの影響が加わるとの見方もある。政府においても、マルコス・ペーニャ官房長官は6月27日、「今後数カ月は後退局面になる」と述べ、ダンテ・シカ工業生産相も就任直後に、2018年後半に向けてアルゼンチン経済は厳しい局面に差し掛かるとの認識を表明している。

(注)産業の生産活動状況を供給面から捉えるための指数。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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