エコノミストの経済見通しは悪化傾向

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年07月12日

アルゼンチン中央銀行は7月3日、現地の民間エコノミストによる最新の経済見通しの集計値(REM)を発表した。4月下旬から5月上旬にかけてのアルゼンチン・ペソ急落以降、2018年のREMの指標は悪化傾向が続いている。

発表によると、2018年末の消費者物価上昇率の見通しは30.0%と前回6月発表の27.1%から2.9ポイントの上昇で、政府がIMFに提出した経済指標見通しにおける2018年インフレ率の見通し(27.0%)も上回っている(2018年6月27日記事参照)。ちなみに、2019年末時点の見通しは20.2%(前回6月は19.0%)、2020年末が15.0%(14.0%)となっており、いずれも政府の経済指標見通しを上回る状況(2019年17%、2020年13%)にある。

為替レートについても、前回は2018年末に1ドル=27.4ペソだった見通しが、今回は30.3ペソとなった。2019年末の見通しは36.0ペソとなっている。

政策金利は相次ぐ引き上げで40%となっているが(2018年5月8日記事参照)、今後は緩やかな引き下げが続き、2018年末には33%(前回見通し30%)、2019年末には24.88%(23.25%)としているが、6月時点と比べて引き下げのペースが鈍るとの予測となっている。

2018年の実質GDP成長率予想は0.5%に低下

また、利上げが実体経済にマイナスの影響を与えることが見込まれる中で、2018年の実質GDP成長率は、前回見通しの1.3%から0.8ポイント低下し0.5%になるとしている。なお、2019年についても2.2%から1.6%、2020年も2.8%が2.5%といずれも引き下げられている。IMFに提出された政府による経済指標見通しでも2018年は0.4%と低成長になるとともに、6月26日に発表された産業活動指標(4月)でも干ばつの影響によってマイナスを記録するなど(2018年7月2日記事参照)、ここに来て2018年の経済成長に対する悲観的な材料がそろう状況になっている。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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