6月の輸出は3カ月、輸入は20カ月連続のプラスに

(インド)

チェンナイ発

2018年07月27日

インド商工省は7月13日、2018年6月の貿易統計(速報値)を発表した。輸出額は前年同月比17.6%増の277億ドル、輸入額は21.3%増の443億ドルとなった。輸出額は3カ月連続、輸入額は20カ月連続でプラスの伸びとなった。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は166億ドルの赤字となり、前年同月の赤字額(129億6,000万ドル)から大幅に拡大し、5年1カ月ぶりの大きさに膨らんだ。米国による対イラン経済制裁再開への懸念から、国際的に原油価格が上昇し、主要輸入品目である原油・石油製品の貿易額が増加していることが背景にある。

輸出上位2品目である石油製品と宝石・宝飾品以外の品目の輸出額は201億3,000万ドルで、前年同月の174億8,000万ドルと比べ15.1%増加した。前年同月比で伸びた主な輸出品目としては、エンジニアリング製品が14.2%、有機・無機化学品が30.3%、医薬品・精製化学品が14.7%、織物用糸・布地が24.3%だった。

原油・石油製品の輸入額は前年同月比56.6%増

最大の輸入品目である原油・石油製品の輸入額は127億3,000万ドルで、前年同月の81億3,000万ドルと比べ56.6%増となった。原油・石油製品以外の輸入額は315億8,000万ドルで、前年同月の284億ドルより11.2%増加した。主な輸入品目では、電子機器が14.3%、機械・器具が32.8%、石炭が27.0%、有機・無機化学品が24.3%、それぞれ増加した。

対イラン経済制裁再開への懸念から、原油調達先を切り替える動きも

米国政府はイランに対する経済制裁の再開を2018年5月に表明し、11月4日までにイラン産原油の輸入を停止するよう各国に求め、取引を継続する国には、米国の金融システムへのアクセスを制限すると警告した。これを受け、インドでも5月から6月にかけて、同国からの原油輸入量を25%減らした。イランはインドにとって、イラク、サウジアラビアに次いで、第3位の原油輸入国となっている。イランとの取引が停止すれば、原油はサウジアラビアやクウェートなどから代替調達される見込み(「エコノミック・タイムズ」紙7月11日)だ。

一方で、11月4日以降もインドとイランとの取引が継続される可能性も浮上している。現在、イラン産原油への支払いは、インドステイト銀行(SBI)を通じて、ドイツの銀行がユーロ決済しているが、経済制裁のタイミングに合わせ、ルピー決済を認めるようイランに訴え掛けているという。足元では、主要通貨に対してルピー安基調が続いていることが背景にあるとみられる。イランがこれに応じるかどうか、今後の動向が注目される。

(榎堀秀耶)

(インド)

ビジネス短信 827153c8d4b8dc40