南カリフォルニア日系企業、業績評価は分かれる

(米国)

ロサンゼルス発

2018年07月20日

ジェトロは7月17日、南カリフォルニア日系企業協会(JBA)と共同で実施した「南カリフォルニア日系企業実態調査2018」の報告書を公表した。本調査は、南カリフォルニア(注)の日系企業の事業状況や経営環境などを把握することを目的としており、今回で13回目となる。

今回の調査は、南カリフォルニアの日系企業790社に依頼、うち369社から回答を得た。日系企業が11万7,700人(推計)の雇用創出や毎年105億5,000万ドル(推計)の給与および福利厚生などを通じて地域経済に貢献していることが分かった。

2017年の業績については、全体の約7割が「順調」と回答した点は前回調査と同じだったが、9.2%が「予想以上に順調」(前回3.4%)、58.3%が「おおむね順調」(66.0%)と回答し、「予想以上に順調」の割合が増加した。一方、業績に不満を持つ回答の中でも、9.2%が「大いに不満」(4.6%)、23.3%が「やや不満」(25.9%)と回答しており、「大いに不満」の割合が増加した。他の調査項目(売上高の増減や営業利益の見通し)でも、こうした業績評価の二極化がみられた。

業種別にみると、「金融」「建築・不動産」「サービス」では、「予想以上に順調」または「おおむね順調」と回答した割合が「全業種」を上回り、業界としての好調さをうかがわせた。一方、「商社・貿易」「輸送」「卸・小売」「製造」では、「やや不満」または「大いに不満」とする割合が他の業種を上回った。

貿易摩擦を懸念する割合が大幅増

南カリフォルニアの魅力については、「市場の大きさ」(65.3%)、「気候」(51.7%)、「日系社会の大きさ」(42.4%)、「物流拠点(港・空港)がある」(40.1%)、「日本に近い」(29.9%)などが挙げられた。

今後の不安材料としては、「景気の動向」(72.6%)、「雇用コスト上昇」(64.7%)、「為替の影響」(45.5%)、「通商摩擦」(28.2%)、「規制強化」(26.6%)などが挙げられた。特に「通商摩擦」については前回調査(11.1%)と比べて顕著に増加しており、業種別にみると、「輸送」47.1%(前回13.9%)、「商社・貿易」37.7%(16.3%)、「製造」37.3%(8.9%)、「卸・小売」31.0%(20.5%)と、トランプ政権による追加関税賦課の影響が懸念される業種で高かった。

(注)南カリフォルニアの範囲は、ロサンゼルス、オレンジ、サンディエゴ、サンバナディーノ、リバーサイド、ベンチュラ、サンタバーバラ、カーン、サンルイス・オビスポおよびインペリアルの10郡。

(北條隆)

(米国)

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