米国の追加関税拡大、中国は対抗措置を表明

(中国、米国)

北京発

2018年07月12日

トランプ政権が7月10日に、中国から輸入する2,000億ドル相当の6,031品目(家具、生鮮食品など)に10%の追加関税を課すと発表したことを受け、商務部報道官は7月11日に、受け入れられないとして厳正な抗議を表明(2018年7月12日記事参照)、WTOへの提訴にも言及した。また、米国の行為は中国、全世界、ひいては米国自身を傷つけるものと批判しつつ、これまでどおり必要な対抗措置を取らざるを得ないと述べた。

これまで、3月26日に米国が1962年通商拡大法232条に基づき、また7月6日に1974年通商法301条に基づき追加関税を課した際には、中国はそれぞれすぐに対抗措置を打ち出してきており(後者は同時刻)、今回も同様の方針だ。外交部の華春瑩報道官も7月11日の定例記者会見において、現在も米国と再協議するチャンスがあるかとの記者の問いに対し、中国は貿易戦争を行いたくないと再協議に含みをもたせつつも、貿易戦争を恐れないと述べている。5月19日には2回の協議を経て、中米両国が摩擦回避のための共同声明を発表していたが、米国の301条措置発動の表明で棚上げされた状態に陥っている(2018年5月22日記事参照)。

7月6日に中米双方が同時刻に25%の追加関税賦課を行ったが(2018年7月10日記事参照)、商務部国際貿易経済合作研究院外貿研究所の梅新育研究員は、貿易戦争が世界の広範囲に広がってしまうと、2018年のみならず2019年も世界経済の成長に影響が及ぶとしている(「毎日経済新聞」7月8日)。

中米貿易摩擦の長期化の影響を懸念する声が聞かれる中、商務部報道官は7月9日、(1)各企業に対する影響の評価を続ける、(2)対抗措置で得た税収増加分は、主に関連企業や従業員の被る影響の緩和に用いる、(3)企業の輸入構造の調整を奨励し、大豆、豆かすなどの農産物や水産物、自動車について、他の国・地域からの輸入を増加させる、(4)国務院が6月15日に発表した、「外資の積極的かつ有効な利用により、質の高い経済発展を促す若干の措置外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を早期に着実に実行し、企業の合法的権益保護を強化し、より良い投資環境をつくり上げること、を発表した。中国は、中米貿易摩擦による国内経済への影響を最小限に抑えようとしている。

(宗金建志)

(中国、米国)

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