韓国政府、米国の自動車232条調査に関する意見書提出

(韓国、米国)

ソウル発

2018年07月03日

韓国政府は6月29日、米国商務省が5月23日に自動車・同部品輸入に関する調査を開始した1962年通商拡大法232条(以下、232条)に係る意見書を提出するとともに、7月19~20日に開催される公聴会に官民合同使節団(団長:産業通商資源部通商次官補)を派遣すると発表した(2018年5月25日記事5月31日記事6月1日記事参照)。

意見書の主な内容は以下のとおり。

  1. 韓国は米国の同盟国であり、安全で信頼できる貿易の相手国だ。2018年3月末に大筋合意をした米韓自由貿易協定(FTA)見直し交渉で、米国産自動車の対韓輸出条件が改善されている。また、米国に輸出される韓国産自動車は中小型で、中大型やスポーツ用多目的車(SUV)を中心とする米国産自動車とは競合関係にない。さらに、韓国の自動車産業は、米国に100億ドル以上を投資し、約3万人の米国人を直接雇用するなど米国経済に貢献している。
  2. 米国自動車産業の稼働率、生産、輸出、雇用といった主要指標をみると、過去10年間、増加傾向にあり、米国の自動車産業は健全だ。民生用の自動車が米国の安全保障に関連することはないため、232条を適用するのは不適当で、米国経済にマイナスの影響を及ぼしかねない。
  3. 自動車産業のグローバルバリューチェーンを考慮すると、232条を発動した場合、米国自動車産業の競争力を低下させる恐れがある。また、米国内の雇用減少、自動車価格上昇による消費者負担増により、米国の経済や厚生水準にマイナスの影響を与えかねない。

(末永敏)

(韓国、米国)

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