アズブカ・フクサが高級イートインをオープン

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年07月23日

モスクワとサンクトペテルブルクでスーパーマーケットチェーンを展開する「アズブカ・フクサ」が店舗内で軽食レストラン(イートイン)の「AVビストロ」をオープンした。小売業界では新たな需要開拓のため積極的に外食事業に参画するケースが目立つ。AVビストロは同社のブランドイメージに合わせ、都市部の中・高所得層をターゲットとした高級イートインを目指す。

同社プレスリリース(7月12日)によると、モスクワ中心部で2018年春に開店したスーパー2カ所で外食事業がスタートした。既存のイートインコーナーではなく、専用メニューの料理を厨房で調理し、給仕スタッフが提供する。米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのイリーナ・クリコワ氏は、小売企業による外食への事業展開は盛んになっており(表参照)、特にミレニアル世代(注)に人気があると説明する(「ベドモスチ」紙7月12日)。

表 外食事業を手掛ける小売企業の例

AVビストロは店舗が街の中心部にあることから、観光客や会社員、学生などを顧客層として想定。メイン料理の価格は600~700ルーブル(約1,080~1,260円、1ルーブル=約1.8円)、全体の平均予算は800~1,100ルーブルで、他社が併設する軽食レストランよりも高めの設定とする。新たな消費セグメントの開拓を目指すが、業界専門家の中には懐疑的な見方もある。レストランビジネス専門コンサルのレストコンのアンドレイ・ペトラコフ執行役員は、「アズブカ・フクサであっても、低価格メニューを提供する場というイメージが定着したスーパー内の飲食店の認識を変えるのは難しいだろう」と指摘している。

写真 AVビストロの店内(ジェトロ撮影)

(注)国によって定義が異なるが、おおよそ1980年代中ごろから2000年までに生まれた世代を指す。

(市谷恵子、高橋淳)

(ロシア)

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