習国家主席が訪問、10分野からなる共同声明発表

(アラブ首長国連邦、中国)

ドバイ発

2018年07月31日

中国の習近平国家主席が中東・アフリカ諸国歴訪の最初の訪問国として、7月19日から21日、アラブ首長国連邦(UAE)を訪問した。中国国家主席の訪問は29年ぶり。UAE側はさまざまな文化イベントを含む中国ウイークを開催、記念切手を発行するなどして歓迎した。約1週間前に訪問が発表されて以降、メディアが連日大きく報道するなど、関心の高さをうかがわせた。

習国家主席とムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥームUAE副大統領兼首相兼ドバイ首長、ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン・アブダビ皇太子との会談では、両国関係を多分野にわたり強化していくことと、国際的、地域的な共通関心事項に取り組むことで合意した。両国共通の関心事項の達成に向けた持続可能な貿易・投資関係の構築のため、「一帯一路」構想の中で協力を深化していくことを強調し、10分野からなる共同声明を発表した(表参照)。

表 共同声明の10分野

また、3者立ち会いの下、エネルギー、eコマース、農業・農林畜産品の卸売り、税関、金融、太陽光発電プロジェクトなどに関する13の覚書が交わされた。そのうち、シルクロード・イニシアチブおよび21世紀の海のシルクロード・イニシアチブについての協力に関する覚書には、ジャーベル国務相兼アブダビ国営石油会社(ADNOC)総裁と何立峰・中国国家発展改革委員会主任が署名した。また、一帯一路構想の枠組みの中での産業力協力に対する金融サービスやイノベーションについての覚書には、アブダビの金融フリーゾーンであるアブダビ・グローバル・マーケットと中国江蘇国際経済技術合作が署名した。

さらに、習国家主席訪問に際して、官民のさまざまなプロジェクトが発表された。ドバイ政府系不動産開発企業エマールは、世界一高いビルを建てるとして注目されているドバイ中心部の開発地区に、中東最大のチャイナタウンを造ると発表した。また、ドバイ政府下の港湾運営企業DPワールドは浙江省コモディティシティグループと、運営するジュベル・アリ・フリーゾーン内に建設する卸・小売りエリア「トレーダーズ・マーケット」に関する協力について合意した。

UAE国営メディアは今回の訪問について、両国間の戦略的連携をさらに強化し、覚書やプロジェクトは一帯一路構想の実現に向けた土台となるだろうと報じている。

(山本和美)

(アラブ首長国連邦、中国)

ビジネス短信 08d31becb4dab11e