政策金利を2会合連続で7.25%に据え置き

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年06月21日

中央銀行は6月15日の理事会で、政策金利を7.25%に据え置くことを決定した。ドミトリー・メドベージェフ首相は6月14日、2019年1月から付加価値税を現行の18%から20%に引き上げる方針を発表(2018年6月15日記事参照)。これを踏まえ、「中立的な」金融政策(政策金利6~7%)への移行を遅らせる必要があるとしている。中銀は2017年中に6回の利下げを実施、2018年に入っても2月と3月の理事会でそれぞれ0.25ポイントの引き下げを行ったが、今回は4月に引き続き2会合連続の据え置きとなった。

中銀では、政府の増税方針を受け、消費者物価指数(CPI)が約1.0ポイント上昇すると試算。その影響はインフレ期待と増税に先立つ物価調整のかたちで2018年中にも表れるとして、同年末までのCPI上昇率を3.5~4.0%、2019年は4.0~4.5%に加速すると予想。目標水準の4%に戻るのは2020年以降になるとの見方を示した。エリビラ・ナビウリナ中銀総裁は理事会終了後の記者会見で、これらの背景から「現時点では若干の金融引き締めを維持せざるを得ない」と述べた。

金利据え置きの決定には、原油高と2018年初からの物品税引き上げで、国内のガソリン価格が高騰したことも影響した。5月のCPIが前年同期比で2.4%の上昇にとどまったのに対し、ガソリン価格は11.3%もの上昇となった。これを受けロシア政府は6月1日からガソリンに対する物品税を引き下げ、7月にもさらなる減税を検討している。

今回の中銀発表に対し、市場ではさまざまな見方がされている。中銀の政策転換と見なし、「年内の引き下げは期待できないだろう」(投資会社ロコ・インベストのキリル・トレマソフ分析部長)との予想がある半面、一時的な方針にすぎないとの見方もある。クレディスイスのアレクセイ・ポゴレロフ・ロシア担当エコノミストは、「短期的なインフレリスクよりも経済活動の鈍化によるリスクの方が高い」とみる。ガスプロムバンクのエゴル・スシン戦略策定センター長も、「インフレ率が中銀ターゲットを超えないのであれば2018年秋の引き下げもあり得る」としている(「RBK」電子版6月15日)。

次回の政策金利決定理事会は7月27日に開催される予定。

(市谷恵子)

(ロシア)

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