IMF、拡大信用供与措置の4回目の評価を実施

(モンゴル)

北京発

2018年06月05日

IMFはモンゴル政府に対して、拡大信用供与措置(EFF)の4回目の審査を実施し、実務レベルの合意に達したと発表した。今後、IMFの理事会による審議で承認されれば、EFFに基づくさらなる融資が実施される。

IMFは5月18日の発表で、資源などに対する外需の好調が経済の回復を後押ししたとの認識を示した上で、EFFの枠組みで定めた財政赤字の削減や外貨準備高の増加など、主要マクロ経済の数値目標を達成したと評価した。

2018年1月から個人所得税に累進課税制度が導入された後、わずか1カ月ほどで撤廃されたことなどから、緊縮財政を維持できるか注目されていたが、2018年度第1四半期の政府の財政状況は、歳入が前年同期比21%増と予算編成時の想定を上回る改善がみられた。なお、外貨準備高も前年同期より2億ドル増えた。

歳入が想定を上回った要因については、モンゴル政府の予想(1トン当たり60ドル)よりも高い水準(70ドル台後半)で石炭価格が推移したことにより、関連税収が増加したこと(注1)、景気回復を受けて企業所得税が増えたこと(注2)などを挙げた。

IMFは、モンゴル政府が歳出削減および税収管理の強化を継続して行っていることに加え、モンゴル開発銀行の業務改善に一定の進展がみられること、各銀行に2018年12月末までに自己資本比率の設定基準を満たすよう期限を定めるなど、不良債権の迅速な処理に向けた制度改革を行っていることなどを評価した。

一方で、資源に対する外需の減少、構造改革の遅れや投資環境の悪化などのリスク要因は依然として残っていることから、IMFは政府に対して、今後もEFFを着実に実施するために、銀行システムの強化、インフレ率の抑制、外的リスクに備えた外貨準備高の増加、財政管理の改善などに引き続き留意する必要があるとした。

(注1)国家統計局月報4月号によると、2018年1~4月の石炭輸出額は7億9,576万ドル、輸出量は1,033万トンなので、1トン当たり77.0ドル。同期の資源採掘税は前年同期比64.4%増。

(注2)国家統計局月報4月号によると、2018年1~4月の企業所得税は前年同期比23.3%増。

(藤井一範)

(モンゴル)

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