アビィ首相就任2カ月、非常事態宣言解除へ

(エチオピア)

アディスアベバ発

2018年06月04日

政府は6月2日の閣議で、2月17日夜から有効だった国家非常事態宣言を解除することを決めた。早ければ4日にも人民代表議会(下院)で承認されるとの観測もある。欧州の夏の休暇時期を前に、観光客増加や投資家心理の改善が期待されている。

非常事態宣言は、ハイレマリアム前首相の辞意表明に伴う不測の事態を未然に防ぐとともに、地方部で散発するデモや反政府活動の沈静化を意図していた。アビィ首相は4月2日の就任後に早期の非常事態宣言解除を目指す旨を発言し、国内外で解除時期が注目されていたが、就任から2カ月での決定となった。

アビィ首相は就任後、国内各地で精力的に集会を開き、平和や許し合う文化の尊さ、互いを敬う重要性を直接国民に語り掛けてきた。国内の融和を目指し「あらゆる民族がエチオピア人であり、エチオピア人が国としてのエチオピアをかたち作る」として国民意識の醸成を図っていた。

出身地であるオロミア州では住民に抑制を求め、北部ティグライ州では勤勉に敬意を示すなど、指導者交代に伴う身びいきを懸念する層にも配慮を示してきた。政治的自由の拡大も進めており、前首相に倣い政治犯の釈放も進めているほか、国外で活動する野党勢力とも直接対話を実現した。女性の参画促進では、閣僚以外に両院議長や政府機関の長などで女性登用を進めており、政治分野では前評判どおりの有言実行を印象付けている。

(関隆夫)

(エチオピア)

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