イノベーションの最新動向探るセミナーが東京で開催

(カナダ、日本)

米州課

2018年06月22日

日本・カナダ商工会議所協議会とジェトロは6月15日、東京都内でカナダのイノベーションの最新動向と日加企業による協業の可能性を探るセミナーを開催した。

最初に、ジェトロ・トロント事務所の酒井拓司所長は、日加間の連携事例を紹介した。大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスはオンタリオ州のウォータールー大学と共同で自動運転システムの研究開発(R&D)を行っており、豊田通商はディー・ウェーブ・システムズ(D-Wave Systems)と量子コンピューティングによる最適化技術で協業を開始している。また、富士通は人工知能(AI)と量子コンピュータ分野の研究所を同州のトロント大学に設置して同大学と共同研究を実施するとしており、酒井所長は日加間のAI分野での連携が進んでいると述べた。

AIのエコシステムが形成と紹介

在日カナダ大使館の徳永陵商務官は、カナダ政府のイノベーション促進政策や投資先としてのカナダの魅力を紹介した。カナダの高度教育機関におけるR&D額は、OECD加盟国内でも高水準で、ビジネスコストや税制の両面においてもトップレベルだと述べた。続いて、アニータ・パン2等書記官が、カナダにおけるAIの現状を説明した。トロント、ウォータールー、モントリオール、エドモントンの大学や研究機関ではAI人材を育成するとともに、世界中から優秀なAI人材を集めており、パン氏はAIのエコシステムが形成されていると述べた。

投資会社ハイクベンチャーズのゼネラルパートナーの安田幹広氏は、同社のカナダにおける取り組みを紹介した。同社は、AIを活用して具体的な問題を解決している米国やカナダのスタートアップへ投資を行っているが、安田氏はカナダに注目している点として、(1)AIエコシステムの存在、(2)米国市場へのアクセス、(3)国際的なマインドの起業家の存在、(4)バリューション(企業評価価値)の妥当性、(5)税制優遇の5点を挙げた。

写真 講演するハイクベンチャーズの安田幹広氏(ジェトロ撮影)

最後に、NTTデータのオープンイノベーション事業創発室長の残間光太朗氏は、同社のオープンイノベーション戦略を紹介した。最先端技術を持つベンチャー企業と同社の顧客企業、同社の技術の組み合わせによる新規ビジネス創発を目的として、2014年からオープン・イノベーション・コンテストを実施しており、コンテストの実施に当たっては世界のアクセラレーターと提携している。同社は2016年9月にトロントのイノベーションハブであるMaRSディスカバリー・ディストリクトとパートナーシップ契約を締結しており、残間氏は映像を用いながら2018年3月に開催された第7回コンテストの模様を紹介した。

写真 講演するNTTデータの残間光太朗氏(ジェトロ撮影)

(小山勲)

(カナダ、日本)

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