モディ首相が初訪問、包括的戦略関係に格上げ

(インドネシア、インド)

ジャカルタ発

2018年06月06日

ジョコ・ウィドド大統領(以下、ジョコ大統領)は5月30日、インドネシアを初めて訪問したインドのモディ首相と会談した。大統領府の発表によると、会談にて両首脳は、2国間関係を現在の戦略的パートナーシップから、包括的戦略パートナーシップに格上げすることで合意した。また、両国は防衛、海洋、製薬などに関する15件の政府間、非政府間の合意書に締結した。

海洋分野での協力強化で一致

インドネシアとインドは2019年に国交樹立70周年を迎える。地元紙によると、モディ首相の今回の来訪は、両国の一層の関係強化を図り、同首相が掲げる「アクト・イースト」政策を周辺諸国に広める狙いがあるようだ。会談後の記者会見でモディ首相は、自身の政策とジョコ大統領の海洋政策の類似点に触れ、両国がインド大洋州地域の海洋協力について共通のビジョンを有していることを強調した。

一方、インドネシア内閣官房の発表によると、ジョコ大統領も海洋分野におけるインドとの協力を強調し、環インド洋連合(IORA)を通じた連携を進めるとした。地元紙によると、両国は具体的な連携として、インドネシアのアチェ州サバンと、海域を挟んで隣接するインドのアンダマン・ニコバル諸島のインフラ開発で協力し、連結性を強化する。またインド外務省の発表によると、海域上の国境について国際法を順守し、安全保障について監視や共同訓練を実施することも確認した。

パーム油の輸入関税引き下げを要望

ジョコ大統領は、モディ首相との会談でインドネシア産のパーム油に対するインドの輸入関税引き下げを要望した。地元紙によると、インドは2017年11月から2回パーム油に対する輸入関税を引き上げており、現在パーム原油(CPO)に対して44%の関税が課されている。インドネシアはパーム油生産量世界一で、2017年のパーム油輸出のうちインド向けは24%を占めており、関税引き上げによる打撃が大きいと懸念されている。

(山城武伸)

(インドネシア、インド)

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